第20章 秋祭りのお手伝い
「いらっしゃいませ~」
華子さんの声が響く。
「いらっしゃいませ~。お団子いかがですか~」
華子さんを真似て、私も声を出す。
そうすれば、早速お客さんがお団子を求めてくる。毎年出しているからだろう。華子さんとのやり取りで、常連さんだと分かる。
そんなやり取りをみながら、私も何人かのお客さんの接客をする。
某ハンバーガー店でのバイト経験は生かせそうだ。
「そうそう、そんな感じ。全然大丈夫そうね。ノブちゃん、少し任せていい?ちょっと中を手伝ってくるから。何かあったり、お客さんが多くなったら、すぐに声かけてね」
「はい。分かりました!」
そう返事をすると、華子さんは店に戻り、私は一人でお店に立つ。
まだお客さんは少ないが、ぽつんぽつんと買いに来てくれるおかげで、慣れるにはちょうど良かった。
「ありがとうございました~。また来てくださいね~」
随分と慣れてきて、少しだけ会話する余裕も出てきた。相変わらず華子さんは店の中とを行ったり来たりで、忙しくしている。
おじさんと斉藤さんも、一度だけ外の様子を見に出てきた。
「おー思ったよりちゃんと接客できてるじゃないか」
「うんうん。ノブ、このままうちで働かないか。なかなか筋がいい」
「本当ですか?ありがとうございます」
斉藤さんとおじさんからお褒めのお言葉を頂き、嬉しくなる。お屋敷でのお仕事も楽しいのだけど、久しぶりの外での仕事も楽しい。
「教えることなんてほとんどないから、本当に助かるわ」
「そうですか?華子さんのお役に立ててるなら、本当良かったです」
一応仕事をしていた。接客業はアルバイト以来だけど、何とか対応できているようだ。
そのまま店先で売り子をしていれば、見知った顔が店に訪れた。