第20章 秋祭りのお手伝い
「…はい。あ、でも、料理は斉藤さん直伝ですから、美味しくなかったら斉藤さんの教え方が悪かったってことにしましょう!」
そう言えば私の心も一気に軽くなる。何て現金なんだろう。その言葉に華子さんも顔を綻ばせる。
「ふふっ。そうね。じゃあよろしくね」
「はーい」
そこからは二人とも黙々と準備だ。
華子さんはご飯を炊きつつ、合間に厨房の手伝いに行く。
私は炊飯の様子を見ながら、煮物を作る。
鍋の様子を見ながら、炊き上がったご飯を食べやすいようにお握りにする。
ついでに華子さんが切りかけていた漬け物も、最後まで切って皿に並べる。
こんなもんだろう。
片付けまで済ませ、厨房に戻れば、三人は黙々と作業を進めていた。
「華子さん、だいたい準備終わりましたよ」
そう声をかければ、華子さんは作業台から顔を上げ、申し訳なさそうな表情で答える。
「ごめんね。結局ノブちゃんに殆ど作って貰っちゃったわね」
「大丈夫です。お屋敷で毎日していることですから。それこそ、厨房の方のお仕事は分からないですし。次は何をしたらいいですか?」
「じゃあ、そこの分、また串をさしてもらえる?」
華子さんが目線を向けた先には、木箱の中に小さな団子が山積みになっていた。
「随分ありますね。がんばりまーす」
「頼むぞ。それが終わったら、こっちのも頼むな」
作業の手は止めず、笑いながら言うおじさんの横には、もう既に木箱の中に小さな団子達が出来上がっていた。時々会話をする事や、おじさんが指示する声がするが、みんな黙々と作業を進めていた。
私も黙々と団子達に串をさし続けると、見事な串団子の山ができていた。
「一息入れよう」
おじさんの言葉を待っていたかのように、華子さんがお茶をみんなに手渡してくれる。冷たい緑茶が喉を潤していく。
気づけばかなりの時間、作業をしていたようだ。