第20章 秋祭りのお手伝い
「これで串団子は一段落かな。後はお饅頭だけど、それは特に作業はないし。ノブちゃん、そろそろお店の準備をしましょうか」
「はい」
そう言って裏に行き、机のような物を持ってきた。これが売り台になるようだ。赤い布をかけ、いつもの幟も立てる。そうしていると、おじさんと斉藤さんも出てきて出店の屋根部分を設置する。
「いつも一人で作るが、今年は義雄がいるから、早く出来たな」
「来年も再来年も、ずっと斉藤さんが手伝ってくれますよ、おじさん」
「そうだな。ハッハッハッ!頼むぞ、義雄!」
「…はい」
豪快に笑うおじさんには何も言えないようだ。斉藤さんに睨まれているし、華子さんは顔が赤くなっているけど、気にしない。だって二人はお似合いだと思う。
それに私は来年のお手伝いは出来ないだろう。本当に自分自身、どうなるかわからない。
だけど、この三人の関係は今からだ。
だけど、いまでも素敵だと思う。そんな中に私もいれてもらえて、本当に幸せだ。
そんな事を考えていれば、ニヤニヤしていたのだろう。
「おい!ノブ!顔!」
頭を叩かれながら、斉藤さんに指摘されたのだった。
店の準備が粗方終わり、私と華子さんは昼食の準備に取りかかる。
店の奥と二階が居住スペースになっていた。厨房を抜ければ小さな台所があった。そこで作るようだ。
勝手は違う。だけど、やることは同じだ。
「ノブちゃん、煮物お願いできる?その間お米炊いちゃうから」
「分かりました。ここにある野菜使っていいんですよね?」
「うん。味付けもおまかせするわ」
にっこりと笑いながら言われれば、断れる筈もなく。
「…が…がんばります」
自信なく答えた。実弥さんが残さず食べてくれるから、不味い物は作ってない筈だけど、甘味屋をしている二人に食べてもらうにはちょっと心構えが必要だ。
「私達しか食べないから、そんなに気にしないでいいのよ」
そう言われるが、やっぱり心配だ。だけど、そこであることを思い出す。