第20章 秋祭りのお手伝い
翌日、華子さんに手伝える事を話すと、とても喜んでくれた。
「あー良かった。本当に助かるわ~!ありがとう、ノブちゃん」
「いえいえ。私なんかで良ければ、いつでも手伝いますよ」
「明日は接客をお願いしてもいいかしら?私は厨房と行ったり来たりするから」
就職してからは事務職だったから、接客業は某ハンバーガー屋でのアルバイト経験しかない。でも、学生時代だったこともあり、楽しかった事を思い出す。
「はい。初めてなので、詳しく教えてくださいね」
「ええ」
その後、明日の仕事内容を教えて貰った。
明日は店の前で売るようだ。接客はアルバイトと変わらなさそう。レジがないから、計算に自信がないけど、まぁ、何とかなるだろう。
それに商品はいくつか種類はあるけど、全て同じ値段にしている。そこが有難い。
「基本的には店の前で売り子をして貰う感じかな。何かあれば店の中に声をかけて貰ったらいいし。あ、お昼ご飯は心配しないでね。簡単だけど準備するわ」
「ありがとうございます。取りあえずやってみて、分からないことが出たらすぐ呼びます!」
取りあえずやってみるだけだ。分からないことばかりだから、すぐに聞けばいい。
「そうして貰えると助かるわ」
「それと、夕方には帰りたいんですけど」
「大丈夫よ。昼過ぎには商品を作り終えてしまうから、私が店に出れるし。それに毎年、夕方にはだいたい商品が売りきれちゃうから」
「そうなんですね。それなら安心しました」
「何時位?」
「時間は決まってなくて。夕方、お店に実弥さんがお迎えに来てくれるので、その時間まで、とかかなり曖昧ですけど。大丈夫ですか?」
「あらっ。お迎えに来てくれるの?」
「お祭りを見たことがないって言ったら、少しだけど一緒に回ってくれるそうで。一人だと迷子になっちゃうんで、私」
「ふふふ。優しいのねぇ」
「そうなんですよ。本当に実弥さんは優しいんです」
「あらあら、ご馳走さま」
ニッコリと笑いながら華子さんは言うが、間違いなく何か勘違いしているようだ。