第6章 お屋敷での生活
案の定、斉藤さんから厳しい指摘が飛ぶ。
「おい、ノブ!またここの隅を拭き忘れてる」
「箒はそんな掃き方をするな!集めた埃が枚散ってる!」
「雑巾はもっときちんとしぼれ!」
「先にそこを拭くな。順番を考えろ!上からだ!上!」
「すみませ~んッ!!!」
…………はい、ごめんなさい。
大雑把なんです。性格だから、仕方ないです。すぐには治りません。
「お前さぁ、間違いなく家事全般苦手だっただろ?まぁ、苦手じゃないにしろ、大雑把にしかしてなかっただろう」
正解です。いや、正直には言えない。
「いや、記憶がないから答えられないですけど…。でも、今日斉藤さんと一緒にいて、大雑把な性格だと思い知りました!」
「間違いないな。まぁ、大雑把だけど、不器用ではないからな、ノブは。俺が指摘しているところを気をつけていれば、まぁ大丈夫だろう」
「はい。がんばります…」
ちゃんとできるようになるのか、不安で仕方ない。
「ずいぶんとシゴかれてるなァ。二週間でできるようになるのか、お前はァ」
声がする方を見ると、実弥さんが眉間に皺を寄せながら立っていた。
本当にできるようになるのか、疑ってるよねぇ。私も二週間でできるようになるのか、疑問ですよ。
「斉藤さんが来られるのは二週間ですよね?何とかならなくても、何とかしないといけませんから。がんばりますよ!」
「精々がんばれやァ。できなかったら、追い出すからなァ」
「あぁ、追い出すのだけはやめてください、実弥さんッ」
「フッ。俺は今から柱合会議がある。帰りは夜になる。斉藤、時間になったら帰っていい、分かったな」
「承知しました、不死川様。行ってらっしゃいませ」
「実弥さん、行ってらっしゃーい!気をつけて下さいねぇ!」
「…おい、俺は何に気を付けるんだァ?」
「えーっと。冨岡さんとの噛み合わない会話…とか?はたから見ると、楽しそうなんですけどね」
「全然笑えねぇぞ。ってか、俺が気を付けることじゃねェ。もう、行くぞ!」
「はい。行ってらっしゃい!」
実弥さんに手を振って見送るが、すぐに風のように消えて見えなくなってしまった。