第20章 秋祭りのお手伝い
「実弥さん、今度お祭りに行ってきてもいいですか?」
「そう言えば、もう秋祭りの季節だなァ。だが、突然どうしたァ?」
「華子さんから、お手伝いを頼まれまして」
……
事の発端は、先程おはぎを買いに甘味屋に行った時。
「ノブちゃん、明後日なんだけど、何か予定あるかしら?」
「何もないですよ。どうしました?」
「秋祭りがあるんだけど、手伝いに来てくれる予定だった親戚の子が体調崩して、来れなくなっちゃって。急で申し訳ないんだけど、ノブちゃん手伝ってくれないかなと思って」
「そうなんですね。私で良ければ是非。あ、でも、一応実弥さんに確認させてくださいね」
「無理は言わないけど、手伝って貰えると本当に助かるから」
「華子さんにはいつもお世話になってるんですから。明日お返事しますね」
………
「と言うことなんですよ」
華子さんとの会話をかい摘まんで説明した。
「なぜ俺に聞く?行けばいいじゃねえか」
「居候させてもらってますし。それにお手伝いは朝早くからお願いされてるので、朝食は作れそうになくって。夜もいつも通りですよね?間に合うように、夕食は帰ってきて作りますね」
どうしてもその日は朝食の準備ができるか、分からない。早く起きればいいのだが、いつもより早く起きて準備して行くことが、ちょっと自信が持てない。
だって、目覚まし時計がない。
もし起きれなくて作れなかった時が申し訳ないし、実弥さんにそれを言うのも、恥ずかしい。
夕方だけなら、事前に華子さんに言っておけば、帰れる。
お祭りだろうと、任務はあるだろう。いやどちらかと言えば、お祭りは夜まであるから、それにつられて鬼も出現しそうだ。
「その日は作らなくていい。夜はいつも通り出るが…一日くらいどうにでもなる。取りあえず、日が落ちる前に帰って来ればいい。祭りの日は鬼が出るからなァ」
やっぱり思っていた通りだ。
それと、気になってた事を聞いてみる。
「ありがとうございます。明後日はお言葉に甘えます。それと、実弥さん、お祭りってどんな感じですか?出店は結構出るんですか?」
「ん?知らねえのかァ?」
少しだけ私の言うことに驚いた顔をした。