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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第19章 恋柱と蛇柱


【実弥side】


おはぎをつまんでいれば、飯もすぐにできた。
だけど、味噌汁の中にきちんと切れてない野菜があった。大雑把だが、丁寧に仕事はする奴だ。今までそんな事はなかったから、随分と急いだのだろう。

その一部分で繋がった野菜を見せて、からかえば、少しだけ顔を赤らめて抗議してくる。
ノブはちょっと俺がつつけば、それに必ず反応する。すぐに表情が変わって、その反応が面白くて、言わなくていい一言を言ってしまうのは否めない。

食事はお腹に入れば一緒。だから野菜の切り方なんて、雑でもいい。
うまければそれでいいんだ。

あぁ、今日も飯がうまい。

飯を食べ進めながら、ふと思う。
何だかんだで、俺もノブとの生活に慣れてしまっている。今日屋敷に帰ってきてから、感じた感覚は、生温さにどっぷり浸かっている証拠だろう。
だが、ノブを切り捨てようと思ったり、無理に前のような生活に戻すこともないと思ってしまうのは、もう既に自分自身が生温くなってしまっているのだろう。

自分の変化に戸惑いながらも、そのまま抗うことなく、受け入れる。

そのうちノブも向かいの席で食べ始めた。

そしていつもと変わらず、ノブと話す。食事中にお互い話すことが当たり前になっていた。

ノブの話を聞いて、自分の事かと思ってしまった。
一人だと、腹を満たすだけだった。食事は作れるが、簡単な物で済ましたり、食べないままなんて事も多々あった。

「やっぱり誰かと一緒に食べるのは、大事なことですね」

大事かは分からねえ。でも、ノブが食事の準備をしてくれて、一緒に食べる。当たり前の事が、当たり前ではないと、改めて思う。
お礼を言われることなどしていない。俺の方が食事を準備してもらってるんだァ。

ノブは事ある毎に、不安定な存在だと言う。
記憶がないから、なのだろうが、だが少しだけ違うような感じを受ける。
ただ漠然と。何故そう感じるのかは分からない。
四十の記憶があるという、複雑さからなのか。


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