第19章 恋柱と蛇柱
「あ、それと、蜜璃ちゃんと伊黒さんが来てくれました。連絡して下さったんでしょ。ありがとうございます」
「ん?伊黒も来たのかァ?」
実弥さんは少し驚いた様子だ。蜜璃ちゃんに知らせたのに、伊黒さんまで来たのだから。
実際、私も驚いた。
「元々、二人でお昼を食べる予定だったみたいで。その後に来てくださいましたよ」
「伊黒がねぇ」
実弥さんは苦笑いだ。
「蜜璃ちゃんと一緒にいたくて、でしょうね。あ、実弥さん、私伊黒さんにけっこう生意気言ってしまって…。実弥さん、伊黒さんと仲良いんですよね?すみません」
色々と言ってしまったのだ。一応お知らせしておかないと、伊黒さんに実弥さんが会った時に困るだろう。絶対ネチネチと言われるのは分かっている。
「あいつもお前の言ったことを根に持つような奴じゃねぇだろう。まぁ、今度会ったら、話しとくわァ」
えっ?実弥さんの伊黒さんの印象って、それ?
絶対違うと思う。実弥さんとら性格的に合うから、そんな印象なのかな。
うーん。私からすると、間違いなく根に持つタイプだと思うのだけど…
実際ネチネチネチネチ言われて…それは置いとこう。
そこは、二人の関係性だ。
実弥さんから話して貰えれば、まぁ大丈夫だろう。本当に助かる。
「ありがとうございます。私はもう伊黒さんと会う機会はないと思いますので。
まあ、ちょっと色々やらかしてる気がするので、あまりお会いしたくないなぁと言うのが本音ですけど」
「…お前、何したんだァ?」
物凄く訝しげな表情に変わる。
「えっと、あまりにもネチネチ言われるので、さすがにイラッとして、ちょっと冷たく言ってしまいました。後は蜜璃ちゃんの髪の毛にリボンを結ばせるという無茶振りも…」
その時の事を思い出し、あさっての方向を眺める。
「はァ?!何やってんだァ、お前。取りあえず、分かったけどなァ。今度伊黒に会ったら、絶対言われるなァ」
私の話に流石に困惑した表情に変わる。私も客観的に聞いたら、そう思うので、実弥さんに断りを入れる。
「すみません。一応我慢したんですよ。だけど、ちょっと無理でした…ごめんなさい」