第19章 恋柱と蛇柱
翌日、朝食の準備をしていると、爽籟が帰ってきた。
「今日ノ、夕方マデニハ戻ル」
「伝言ありがとう」
それだけ言うと、すぐに飛び立って行った。実弥さんの所に戻るのか、それとも他にも行くところがあるのだろうか。
それよりも、今日実弥さんが戻ってくる。ちゃんと忘れずに爽籟を飛ばしてくれた。それが嬉しい。
明らかに自分の気持ちがあがっているのが分かる。何て単純なのだろうか。
こうしてはいられない。
夜もまた出ていく可能性はあるけど、美味しい物を食べてもらいたい。おはぎも準備しておかないと。
頭の中が急に動き出した感じだ。
「ハハッ」
私の中で実弥さんの存在が大きい事を改めて自覚し、笑いが出る。仕方ない。この時代ですぐに頼れるのは実弥さんだ。大好きなキャラクターというだけでなく、この時代の生身の実弥さんを知ってからは、より私の中での存在感は大きくなっている。
「やっぱり大好きだなぁ」
ポツリと呟いた言葉は、床に吸い込まれていく。
さあ、感傷に浸っている暇はない。
今日もいつもと変わらない私の仕事をこなしていく。実弥さんが戻ってきて、大丈夫だと安心してもらえるように。
掃除に洗濯と、次々に終わらせる。
軽く昼食を取り、買い物に出かける。昨日は蜜璃ちゃん達に会ったから、結局買い物は何もできてなかった。
華子さんの甘味屋でおはぎを買う。その後に野菜や魚等、夕食の材料を購入し、足早に屋敷に戻る。
戻る道すがら、華子さんとの会話を思い出す。