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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第19章 恋柱と蛇柱


翌日も日が昇る頃に目が覚めた。
現代では目覚ましをかけても、朝は本当に苦手で起きれなかったのに…。この世界に来てからは、日の巡りと共に生活しているからか、はたまた夜更かしないからなのか、日が昇ると共に目が覚めるのだ。それもスッキリと。
本当に驚いてしまう。

そんな事を考えながら準備を整え、台所へ行く。いつものように実弥さんの部屋を見れば、当たり前だが襖は開いたままだった。

「明日には帰ってくるかな」

いくら実弥さんが走るのが早いとはいえ、遠方への任務だし、元々何日かかかる予定だ。
取りあえず爽籟が戻ってくるのを待つばかりだ。

昨日は掃除に1日を費やした。実弥さんがいないから、おやつを食べることも忘れていた。
うん。いつもはお持ち帰りだけど、持ち帰った所で実弥さんもいないし。今日は華子さんのお店で甘味を食べようかな。

「そうと決まれば、午前中のうちに仕事を終わらせるぞー」

そう呟いて、気合いを入れる。
毎日の日課となった仕事をこなしつつ、昨日できなかったお風呂や厠の掃除を念入りにする。だいたい終わった頃には、太陽はもう一番高い位置にいた。

お昼から甘味を食べるからと、本当に簡単に昼食を済ませる。洗濯物の乾き具合を確認しながら、戸締まりをしていく。

ついでにお店も見ていこう。買うのは明日でもいいけど。実弥さんも疲れて帰ってくるだろうから、実弥さんの好物を作ってあげたいし。

「では行って参ります」

誰もいない屋敷に向かって、挨拶しながら戸を閉める。くるりと屋敷に背を向け、歩き出す。
いつもの道をいつも通り進んでいく。
途中で顔見知りになった人達と挨拶を交わしながら、慣れた道を進んでいく。

甘いいい匂いが鼻を掠める。今日は風の向きのせいか、匂いで甘味屋がもうすぐだと気づく。
少しだけ足取りが早くなる。待ちきれない自分の素直な気持ちに、笑いが込み上げる。
すぐに赤い暖簾が見えると、匂いもだんだんと強くなる。

「はぁ。本当にいい匂い」

もう、口もお腹も甘味を食べる準備は整っていた。
目の前の戸を嬉々として開ける。

「こんにちわー」

「いらっしゃい、ノブちゃん」

「華子さん、今日はここで食べていってもいいですか?」

「あら、珍しいわね。大丈夫よ。何にする?」

そう言われ、たくさん並べられた甘味達を見る。



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