第5章 蟲柱と水柱
「もういい。冨岡、胡蝶、お前らお館さまに呼ばれてるんだろ。さっさと行けよ!おい、ノブ。帰るぞォ!」
名前を呼ばれ、実弥さんを見ると、横にいる義勇さんと目が合う。
「ノブというのか。不死川とはどういう関係なんだ。さそれと、さっき乳バンドと言っていたが…」
「!!!」
「冨岡さん、そのことはもういいですから!さぁ、行きますよ。ではノブさん、お気をつけて」
「ありがとうございます!胡蝶さんも冨岡さんもお気をつけて」
しのぶさんに連れていかれる義勇さんに手を振り答える。
義勇さんはマイペースだ。乳バンドの話しはもう終わった筈だが、本人は気になっていたんだろう。
私を見つけて話しかけてきたが、しのぶさんが話を遮り、連れていってくれた。
流石だ。
「実弥さん、さっき名前で呼んでくれましたね」
後ろを振り向き実弥さんの近くに寄る。
出会った時に名前を確認された時以来だろうか。お前とかこの女としか呼ばれていなくて、少し寂しかったのだ。
「前も呼んでただろう?」
「いえ、ほぼお前でしたよ。名前で呼んでくれて嬉しかったです」
「フンッ」
面と向かって言われると恥ずかしいのか、実弥さんは横を向く。
「それと、お館さまの頼みとはいえ、こんな厄介者をお屋敷においていただけることに本当に感謝しています。これからもご迷惑をかけると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
「お館さまの頼みだ。仕方ねェだろ。気にすることじゃねェ」
「ありがとうございます。やっぱり実弥さんは優しいですね」
「何だ、それはァ。昨日から何度も何度も!からかってるのかァッ」
「違いますよ!本当にそう思ってるんですよ。何で信じてくれないのかなぁ。まぁ、いいです。さぁ、帰りましょう」
「そうだなァ」
先程からより赤く染まった夕焼けを見ながら、実弥さんと帰路に着いた。
もちろん肩に担がれてだ…