第18章 休日と音柱 *
「また二人だけの秘密が増えちゃいましたね」
一笑いした所で、悪戯っぽく言ってみる。
「認めたくはないが、違いねぇ」
実弥さんもニヤリと笑う。
こうやってお互い笑い飛ばせるなら、またあってもいいのかもしれない。
「また一緒に寝ましょうね」
本音がポロリと漏れた。流石に実弥さんの顔が強ばり、そして目を反らす。
「…それは、やめておく」
分かりきった答えだが、若干寂しくもある。
まあ、ここで食い付き気味に是非と言う実弥さんだったら、実弥さんではない気がするので、この返事でいいのだけど。
「そうですか?残念です。でも、また人肌が恋しくなったなら、いつでも頼ってくださいね」
にっこりと笑いながらそう言うと、実弥さんは若干苦虫を噛み潰したような顔で吐き捨てるように呟いた。
「……取りあえず酒はもう当分いい」
「二日酔いですか?」
さっきの顔も気分が優れなかったせいなのだろうか、と思い尋ねる。
「あれくらいじゃ二日酔いにはならねえ」
そうですよね~と、心の中で同意する。
何となく実弥さんはお酒には強いと思っていたし、昨日も殆ど変わらなかった。まぁほろ酔い位には見えたかな、程度だ。
二人して結構な量を呑んでいたと思う。鬼殺隊員は身体的に強いけど、それに伴ってお酒にも強いのかもしれない。そう考えると、鬼殺隊でも最高位である柱は、誰も酔うことはないんじゃないのか。
恐るべし柱達。
頭の中で色々と考えてしまったが、このまま実弥さんとのんびり話している訳にもいかないだろう。
「そうなんですね。なら良かったです。じゃあ、そろそろ着替えて朝ご飯の準備をしますね」
………
そう言ったのに、実弥さんは動く気配がない。どうしたいのだろう。
「んと、実弥さん。ここにいたいのだったら、いて貰って構いませんよ。じゃ、私は着替えますね」
立ち上がろうとする私の手を掴まれる。実弥さんを見れば、さっきまで反らしていた視線が真っ直ぐに私の目を捉えていた。
だけど、すぐにその視線はなくなった。実弥さんが思いっきり頭を下げていたのだ。
「…すまねえ、ノブ。いくら酔ってたとは言え、またお前に…」