第18章 休日と音柱 *
窓から差し込む光と鳥のさえずりで、目を覚ます。
随分と明るいので、いつも起きる時間より寝過ごしてしまったようだ。
起きようとして、いつもと違うことに気づく。
実弥さんに抱き締められ、挙げ句の果てには、胸を鷲掴みにされている。
何でこんな状態になってる!?若干パニックになりながらも、ゆっくり記憶の糸を手繰る。
寝るって言ったのは、実弥さんだ。
だけど……胸は自分から触らせたな。
寝ぼけていたとは言え、すごいことを言ったかもしれない
…完全に痴女だよな、私。
「ハァッ」
大きく溜め息をつく。
実弥さんの腕をしっかり捕まえていた。実弥さんも手を退かそうにも出来なかったのだろう。
それにしても、昨日の夜はやっぱりおかしかった。
私だけでなく、実弥さんもだ。
やってしまったことはもう今更悔いても仕方ない。時間は戻せないのだ。
それよりも、あれだけ目が冴えていて寝れないって言ってた筈なのに、実弥さんより先に寝ちゃうって…私の睡眠欲はどれだけ強いんだよって、突っ込みたくなる。
こんな状況でよく寝れたもんだと、感心する。
規則的な呼吸が続く。まだ実弥さんは夢の中なのかもしれない。せっかく寝てるのだから、このまま寝かせてあげたいが、かかる息がくすぐったい。
浴衣の間に潜り込んでいる腕をゆっくりと動かす。何とか胸から手は離れた。
「朝かァ」
実弥さんの声が頭に響き、驚きで体がビクっとなる。
「ごめんなさい、起こしちゃいましたね」
「…いや」
…………
気まずい。めっちゃ気まずい。
何を喋ったらいいのか、頭が真っ白だ。実弥さんも全く喋らないし。
………
いやいやいや、やっぱりこの状態はおかしい。
起きなきゃ。そう思い、体を動かす。
実弥さんも一緒に動きだし、結局二人とも起きた。
起きたのだが、何故か膝を付き合わせた状態で向き合ってしまった。めっちゃ気まずい…。実弥さんも気まずいのか、目線を反らしている。
意を決して声を出す。
「…おはようございます」
「…あぁ。…おはよう」
実弥さんをちらりと見るが、やっぱり顔は反らしたまま。気恥ずかしい気分で、何だか初夜を終えた朝って感じだ。現代では初夜という感じはなく、実際はこんな感じでも全くなかった。