第18章 休日と音柱 *
【実弥side】
「ンンッ」
ノブのその声で、ふと、我に変える。
起きた訳ではなさそうだ。
だけど、俺は何をやってるんだァ。いくら無防備だとは言え、寝てる女にこんなことをするなんて。
いくら酔ってて、無防備に寝てたとしても、この行為は絶対にやっちゃいけねえ。
手を出し、浴衣を少しだけ整える。
腕の力を強め抱き締める。
「すまねえ」
聞こえてはいないだろうが、声に出して謝る。
そして、ゆっくりと腕の力を弱める。
「実弥さん」
起きている筈のないノブから声がして、ビクっとなる。
いつから起きてたのだろうか。
自分勝手な考えと欲望のままにした行為は、弁解の余地は何もない。どんな罵声を浴びせられても、文句は言えない。それだけの行為をしたんだ。
ノブから離れなければ…
回している手を元に戻そうとしたが、抵抗があり動かない。
気づけばノブに掴まれていた。
それすら気づかない程、俺は気が動転していたようだ。
「触っていいですよ。でも寝れなくなるので…激しく触るのと、乳首のところ…止めて下さいね。流石に…変な気分になっちゃいます…から」
そう言い掴まれていた手を、事もあろうか自分から膨らみに誘導したのだ。
「この辺り…ぷにぷに触る位なら大丈夫ですから。…早く、寝ま…しょ」
そう言いながら、俺の手を握ったまま、また寝てしまったようだ。
本当に一体何を考えてるんだ、こいつは。少し触る位ならと、自分で触らせるなんて。性欲とかそういうものはないのか、それとも知らないだけなのか?
余計な事をしやがって。また眠れなくなったじゃねえか。
ノブの両手が俺の手をしっかり捕まえていて、動かそうにも動かせない。
ダメだ。もう、なるようにしかならねえ。こいつが悪いんだァ。俺は悪くねぇ。
そう思い考えることを放棄する。
あれだけ眠れないと思っていたが、欲を吐き出したこともあり、下半身の熱も段々と落ち着いてくる。
それに加え、手に広がる柔らかな感触と、抱き締めた温かさもあり、徐々に睡魔が俺の意識を奪っていった。