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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第18章 休日と音柱 *


【実弥side】


ノブの心臓の音が、トクトクと響く。

生きている。
当たり前の事だが、自分の胸が掴まれたようにギュっと締め付けられる。
少しだけ、腕の力を強め、しっかりと抱き締める。

トクトクトク

心臓の音が響く。あぁ、こいつはちゃんと、生きている。俺の手の中でしっかりと生きている。

そんな当たり前の事が、俺の中でこんなにも安心する。

家族…か。

家族がいなくなって、もう何年も経つ。
あいつはどうしてるだろうか。何で鬼殺隊なんかに入ったりしたんだ。
あいつはどこかでただ生活してればいい。
鬼なんかいない世界でだ。

俺が鬼を殲滅してやるから。
俺のことなんか気にすることなく、ただあいつは笑って何も傷つくことなく、生きていればいいのに。

また胸が締め付けられ、そして少しだけ苛立ちも混じる。

少しだけ腕の力を強めるが、全く反応はない。熟睡してやがる。フッと笑いにも溜め息にも似たものが、鼻から出ていくと共に、さっきまでのごちゃごちゃした感情がふっとなくなった。

いつもそうだ。ノブは俺のことをいつも呆れさせる。そこまであった感情が、ふっと静まり、呆れて物が言えなくなる。
寝ているだけでも、なのか。

ハハッと、笑いが汲み上げる。
本当に何者だよ、こいつはァ。掴めるようで、全く掴めねぇ。記憶が影響してるのだろうか。だが、それにしても、この無防備さはこいつの元々持ったもんだろうなァ。

グダグダと考えるのは性に合わねぇ。
酒のせいだろう。今日の俺は変だった。まぁ今も充分おかしいがなァ。

スースーと規則的な寝息が響く。
本当、この状態で熟睡って、ある意味大物だァ。

少しだけ腕を緩めた時に、俺にはない柔らかさが手に当たった。
ヤバいッ。
そう思ったが、熟睡中のノブは全く気づきもしていない。何ら変わりのない規則的な呼吸が続く。



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