第18章 休日と音柱 *
「うー!癖なので、気を付けてても、出る時は出ちゃうんです。無意識なんですから」
「まぁ、誰にも迷惑はかけてないから、いいんじゃないかァ」
何故か肯定されるが、私としては実弥さんのさとのお出かけのためにはがんばりたいのだ!
「でも、やっぱり実弥さんとお出かけしたいから、がんばります。あ、ほら。また喋ってしまった…」
「寝れねぇなァ」
「でも、意外と実弥さんもお喋りしてくれますよね?」
会話はキャッチボールだ。実弥さんがちゃんと反応してくれるからこそ、私は喋れるのだ。
「ハァ?そんなことはねえだろォ」
何を言っているのか訳が分からないと言った表情で、若干睨まれる。
「いや、だって、今だってちゃんと付き合ってくれてるじゃないですか。独り言は多いですけど、流石に実弥さんが反応してくれないと、私も喋り続けられないですよ。実弥さん、気まずくなったら、黙っちゃいますけど。私の相手をしてくれて、本当に優しいですよね、実弥さん」
「俺は優しくなんかねェッ」
「優しいですよ」
「おい、ノブ!それ以上言い続けるなら、また口塞いでやろうかァ」
「はい?」
意味が分からず、気の抜けた返事をする。
「ほう。わかんねえなら、してやろうかァ」
ニヤニヤと笑いながら、壁ドンならぬ床ドンをされ、実弥さんの発言の意味がやっと理解できた。
「ッ!!遠慮しますッ!」
顔を真っ赤にしながら、何とか答えると、くつくつと笑いながら解放される。
「じゃあもう言うんじゃねえ」
「はい…じゃあ、どうやって寝ます?このまま、向かい合って、ですかね?それとも、もうちょっとくっついて寝ます?」
寝るにしてもこのままだと…と思って言ってみたのだが、実弥さんは顔を反らしてしまった。
「…」
「向かい合ってだと、多分私寝れないので、背中向けて寝てもいいですか?あとは実弥さんのお好きなように。くっついて貰っても構いませんし。反対に実弥さんが向こう側を向いて寝てくれたら、私が実弥さんの背中にくっつきますよ」
「…」