第18章 休日と音柱 *
「いや、するなら満足して貰いたいってのが乙女心ってもんですよ。いや、乙女じゃないな、世話焼きおばちゃんのお節介心ですね」
「世話焼きおばちゃん…」
また実弥さんは呆れている。私って実弥さんを呆れさせる天才かもしれない。
「取りあえず、おばちゃんはおばちゃんの持てる限りの技術で、心を込めてご奉仕しますね。ここ大事ですよ。心を込めてますから」
私の本心。
だけど、そのまま言うのはちょっと恥ずかしいから、冗談っぽく言ってみる。
「何なんだよ、お前は」
困惑した表情の実弥さんも、ここでの生活を始めてから、たくさん見ている。日常生活の中では、表情豊かなのだ。
何だかんだでこの生活が、この状況が、とても貴重で、とても愛おしい。
いつもなら恥ずかしくて伝えようと思わない事も、伝えたいと思ってしまう。少しでもいいから、私の気持ちも知って欲しい。
まぁ、恥ずかしいから、少しおどけて言うけれども。
「酔ってますから」
「お前は呑んでないだろ」
「原因は実弥さんですよ。さっきの口づけで酔いました」
「アァッ?!」
「それに、今日は実弥さんにドキドキしっぱなしです。いつもと違う実弥さんに酔ってるんです。だから、酔っ払いの戯れ言と思って、今日の事は忘れてくださいね」
そう言い切れば、返事は聞かずに、放っておかれた実弥さんのモノを両手で包み込む。
「ごめんね、放ったらかしにして」
声をかけながらゆっくりと上下に動かす。
「さっきから、何でそれに話しかける必要がある?」
「うーん。何ででしょ?何か可愛いじゃないですか?」
「可愛いだとォ?」
「ええ。ふにゃりとしてるの可愛いですよ。何より素直ですよね、この子。私がしたことに対して、正直に反応してくれるんです。ほら、大きくなった」
得意気に言うが、実弥さんは信じられないといった表情で頭を抱えている。