第18章 休日と音柱 *
ゆっくりとその場に座り込み、にっこりと笑いかける。
「実弥さん、私たくさん元気貰ったので、お返ししますね。ちゃんとお世話できるって所、認めて下さいね。ではッ!」
そう言い終えると、バサッと布団をめくって中に入り込む。
「おいッ!」
実弥さんの焦ったような声がして、体を動かそうとするが、それよりも早く手を伸ばし、褌の上から実弥さんのモノを優しく触る。
ゆっくりと上下に擦るだけで、ガチガチに固くなる。
手はそのままゆっくりと擦りながら、潜っていた布団から顔を出す。
「怒らないで下さい。お世話してるだけなんですから。実弥さん、溜まってます?少し触っただけなの、もう硬くなってますよ」
「ノブ、やめろォ」
これでもかと眉間に皺を寄せ、睨まれる。怒っているかもしれないと思い、手を止める。
「…やっぱり嫌ですか?」
「…」
「…やっぱり嫌ですよね?私みたいなおばちゃんに触られるなんて、嫌ですよね。すみません。調子に乗りすぎました…」
擦っていた手を離し、座り込む。
実弥さんが酔っていて何も言われないのを良いことに、調子に乗ってやり過ぎてしまった。前回は受け入れてくれたからと言って、今回もよいとは限らない。
「すみません…」
下をうつむき肩を落とす。ダメだなぁ、私。そう思うと、大きなため息が溢れる。
「ノブ」
先程の怒っていた声とは正反対の、優しい声で名前を呼ばれ、膝の上に置いた私の手に実弥さんの手が重なる。
「怒ってはないから、顔を上げろォ」
そう言われ顔を上げれば、座っている実弥さんと目が合う。少しだけ困ったような、真剣な表情だった。
「ノブ、居候させてるから、屋敷の事はして貰う。だが、こんな遊女みたいな事は無理にしなくていい。こんな事をさせるために置いてる訳じゃねえ」
「実弥さん…」
「お前は今まで通り、屋敷の事をしてればいい。飯作って食べて。何も考えなくていい。今まで通り、馬鹿みたいにいっぱい笑ってろォ」
実弥さんの手が頭に乗せられる。
実弥さんを見れば、珍しく微笑んでいて、だけど少しだけ恥ずかしそうな顔で見つめられる。
言われた事が衝撃過ぎて、頭の中でうまく処理できない。実弥さんはそんなに意味のあるように含ませて言うことはないはずだ。
だけど、これは…
「愛の告白か、はたまた求婚か、不死川」