第17章 休日と音柱
「ですが、それをお話する事はできません。お館さまからあまり話さないように言われていますし。私の事については、全て隠さずお館さまにはお話ししています。お館さまにお話しした上で、私は鬼舞辻無惨から命が狙われる可能性があると言われています。だから、柱の方であっても、お話できません」
隠していることを認めつつ、何故隠す必要があるのか、話をする。目は背けることはしない。
「何でお前が狙われる?」
天元さんも私の表情を見ているようだ。
目線が反らされる事はなく、一挙手一投足まで見られている。なんなら、考えている事まで見透かされていそうだ。
「色々あってですね。ですが、内容はお話しすることはできません」
「それで、それだけで信用しろと?」
眉間に皺が寄り、少しだけ口調も強くなる。
「無理だとは思いますが、私の口からはこれ以上は申し上げられません。さすがに私も自分の命が惜しいので。でも、それでは天元さんは私の事を信用できないでしょうから、お館さまに聞いて頂いても構いません。お館さまには全てお話ししていますし、私の事はお館さまにお任せしていますので。私の事は信用できなくても、お館さまは信用して頂けるのでは?」
天元さんの苦虫を噛み潰したような表情に、これ以上私に対して追及はできないと思ったのだろう。
お館さまの名前を出してしまったのだから。
「…不死川は知ってるのか?」
「はい。お館さまからお話しして頂いてます。私が実弥さんのお屋敷で居候させて頂いているのも、無惨に狙われる可能性があるからなんです。だから実弥さんには狙われる理由はお話しして頂いています」
それを聞いて諦めたのか、やっと天元さんは視線を反らしながら呟く。
「ふうん。まぁ、お館さまがお前の話を聞いて判断したって言うんなら、今はそれを信じるしかねえか」
「ありがとうございます。それで、いつになったら離れて頂けるんでしょうか?」
「ノブ、お前俺の嫁にならないか?」
「はいっ?!嫁っ?何でそこに話が飛ぶんですかッ」
「いや、そしたら話を聞けるだろうと思ってな。不死川は知ってるんだろ?」
「いや、そしたら嫁じゃなくていいじゃないですか」
「お前ら、面白いしな」
ニヤリと笑い、そのまま顔を覗き込んでくる。
「はぁっ?いや、近いですから!」