第17章 休日と音柱
「あら、残念。お味はいかがですか?実弥さん」
「……うまい」
さっきまでの眉間の皺は何処へやら。キョトンとした様子で食べる姿は、とても可愛らしい。
また新しい実弥さんの表情が見れ、私も笑顔になる。
「なら良かった。たくさん食べてくださいね」
そう言う途中に、もう箸で唐揚げをつまみ、口の中に入れている。やっぱり唐揚げはいつの時代でも美味しいようだ。気に入って貰えたようで良かった。
うまいと言いながら、次から次に食べる姿を見るだけで、私も嬉しくなり、顔がどうしても緩んでしまう。
「仲良くしてんじゃねぇか、不死川」
二人以外誰もいない屋敷の廊下から、突然声がした。
突然の事で驚き動悸がしているのに、その声の主を見て、更に驚いた。
「勝手に入ってくるなァ、宇髄」
実弥さんは振り返らなくても、声の主が分かっているようだ。
音柱、宇髄天元。
廊下に中腰体勢でいるので、大きさは分からないが、実際に見ると、本当に派手だ。
両腕の腕輪は金色に光り、額に当てている物にも宝石なのだろうか、キラキラと輝いている。
まぁ、何より顔がいい。本当イケメンだ。
それにしても、元忍だからか、全く気配を感じなかった。まぁ天元さんが忍でなかったとしても、私は気配を感じれる気は全くしない。
だけど、実弥さんの事を知っているとは言え、勝手に屋敷に上がり込むのはどうかと思う。
「嫁じゃねえと言ってた割には、いい感じじゃねぇか。お前もそんな顔するんだなぁ、不死川。なかなかいいもんが見れたぜ」
実弥さんの言葉に返事はせず、勝手に話をしている。やっぱり、柱の人はあまり話を聞かないのかもしれない。
「煩いッ!一体何しに来たんだァッ!さっさと帰れェ!」
「お前と嫁の様子を見にきたのと、今日は休みなんだろ?ほら、酒持ってきたから、呑もうぜ」
「毎回毎回、連絡もなく来るなァ」
「連絡したら断るだろうが、お前は。と、言うことでいいよな、ノブ?」
「えっ?なんで私の名前…それと、どちら様でしょうか?」
何で私の名前を?
私は天元さんの名前は知ってるけど…と思いながら、この世界では初対面なので尋ねてみる。