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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第16章 呉服屋さん


「ふふ。何かあったらお婆様に、ですね。分かりました。これで、私は安心です」

何かあれば、このお婆様に話がいけば、大抵の事はどうにかなるだろう。それだけでも、安心だ。

勇一郎さんが、現代の時のようにストーカー的な人になるとは、限らない。
私は、恋愛が苦手だ。恋愛経験も少ない。
だけど、その少ない経験で、私に対する好意に気づく事があった。だけど、その人達は最終的にストーカーになった。
今回勇一郎さんの好意に気づいたけど、必ずしもみんながみんなストーカーになるとは限らない。
経験数が少ないのだ。たまたまだった、かもしれない。だから、今回は私の思い過ごし、なのかもしれない。

「もう、ノブちゃんまで。そんなに信用ないのかな、俺」

「信用というか、無理を言ってるのは勇ちゃんなんだから、これ位は必要よ」

二人でやり取りする姿からは、そんな雰囲気は感じられない。何なら少し情けないし、手のかかる弟だ。
掛川で見た時と全く印象が違う。
うん。私の少ない恋愛経験で判断したけど、今回は大丈夫だろう。

「ありがとうございます、華子さん。私、本当にそろそろ失礼しますね。今日は早く帰らないといけないので」

「あっ、ごめんね。勇ちゃんはもう少しここで引き留めておくから、安心して」

「えっ?聞いてないよ」

「だめ。一緒に出たら、何だかんだ言って、ついていくつもりでしょう」

「……」

無言と言うことは、そうする予定だったということだ。それじゃ、約束の意味がない。

「では、失礼しますね。華子さん、ありがとうございます」

そう言い、華子さんが勇一郎さんを捕まえてくれている間に、そそくさと店を後にしたのだった。

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