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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第15章 岩柱


ゆっくりと頭を撫でてみる。ふわふわとした髪の毛が気持ちがいい。前は声をかけたらすぐに起きたのに、今日は本当に深い眠りなのだろう。うんともすんともない。

ゆっくりと自分の子ども達にしていたように撫で続ける。

「…ん」

ゆっくりと目が開き、視線が合う。

「実弥さん、大丈夫ですか」

手は頭においたまま、声をかける。実弥さんはまだしっかり覚醒していないようで、目はぼんやりと開いているものの、返事はない。

「実弥さ~ん」

頭においていた手を実弥さんの目の前で振ると、ゆっくりと手が伸び、私の手を掴む。そして、そのまま手を握ったまま、また目を閉じてしまった。

「えっと…実弥さん?」

そう言ってはみるものの、返事はない。
どうしたもんかと考えてはみるが、スースーと気持ち良さそうに寝息を立てて寝ている姿を見れば、起こすのもどうかと言う結論に至る。
それに思ったよりも強い力で右手はしっかりと握られているから、動けない。

「まぁ、いっか」

足を崩し、楽な体勢を取り、左手でゆっくり頭を撫でる。ふわふわとした髪の毛は小さな子どもの髪質に似ている。

いつもはそんなにまじまじと見ることのない、実弥さんの顔をゆっくりと見る。
額や鼻にある傷は、治っているのだが、やはり痛々しい。

実弥さんは、自分の顔を見るたびに、この傷ができた日の事を思い出しているのだろうか。
そんな事を考えただけでも辛くなってしまう。

気持ちよく寝ている姿からは想像できない苦悩や葛藤があったのだろう。せめて寝ている時だけでも、安らかに過ごしてほしい。

そんなことを思いながら実弥さんの顔を再度見れば、無防備そのものだ。実弥さんのそんな姿を見ると、顔のニヤニヤがとまらない。

「可愛いなぁ」

ゆっくりと左手でまた頭を撫で始める。
段々と握られている手は温かくなり、規則的な寝息が子守唄のように響きわたる。

昨日今日と、外出して、体と頭をたくさん使ったからか、私にも段々と睡魔が襲ってきた。
何とかその睡魔を振り払おうと、首を曲げたり、左腕を伸ばしてみるが、全く効果はない。

徐々に目蓋が重たくなっていく。
何度も抗ってみたが、いつの間にか意識を飛ばしてしまっていた。



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