第4章 お館さま
数分なのか、それとも数十分だったのかは定かではない。
とても長い拷問のような時間は、突然終わりを告げた。
実弥さんは急に止まり、私をドサッと下ろす。
急だったこととさっきまでの揺れで、足に力が入らずらそのまま座り込んでしまった。
「大丈夫かァ?」
昨日から何度この台詞を聞いたのだろう。でも今回ばかりは大丈夫とは言えない。間違いなく、さっき食べたご飯が出てきてしまう。
「ちょっと無理です。頭がくらくらして、若干気持ちも悪いです。ちょっと休ませてください~」
「チッ!お館さまを待たせるにはいかないんだ。ほら、行くぞォ」
嘘だぁ。休ませてくれぇ。
また抱え上げられる。今度はお姫様抱っこだ。
また動悸がひどい。頭のくらくらも違う意味で増してきた。
今度は気持ちがジェットコースターのように上り下りを繰り返しているようだ。
でも気持ち悪いのは全く変わらないため、大人しく連れていってもらう。
お屋敷の中のある部屋に案内され、やっとそこで下ろしてもらえる。
さっきはドサッと下ろされたけど、今度は思ったよりも優しく下ろされた。
そのまま座って待っていると、ようやく気持ち悪さは収まってきた。