第15章 岩柱
「まぁいい。三井がどれだけ不死川の事を大切に想っていることが分かった。そこは信じるに値する。存在は、お前が言う通り、もう少し様子を見させて貰おう」
「ありがとうございます!ところで、実弥さんに好い人ができたら、居候させて頂くお話は…?」
私にとってはかなり重要だ。確認しとかなければ!
「それも考えておこう」
幾分和らいだ表情で返事をしているので、感触としては上々といったところだろう。
「良かったです。今回の事が実弥さんにばれたら、間違いなく、追い出されそうですから」
「ん?不死川はここに来ることは知っているのではないか?」
「はい。質問されていたここへ来た理由です。実は、実弥さんとその弟さんとの仲をどうにかできないかと思って来ました。お館さまからも、二人を頼むと言われたので」
「不死川と玄弥を、か。難しいだろうな。お館さまに言われたのなら、仕方ない。だが、三井なら、どうにかしてしまいそうだな」
柔らかな表情で悲鳴嶼さんが言えば、本当にどうにかなりそうな気がしてくる。
「そうだといいんですが…」
「お館さまもだが、私も、他の柱達も気にはしていたことだ。頑張りなさい」
「はい。ありがとうございます、悲鳴嶼さん。えっと、二つの質問に答えましたが、他に何かありますか?」
「いや、もう大丈夫だ。さぁ、三井は不死川兄弟の仲を取り持たなければならないのだろう。玄弥は滝にいるだろう。西瓜も持って、行ってきなさい」
「何から何までありがとうございます。
あの、最後になるんですが、私からお願いが一つありまして。
いつか悲鳴嶼さんが、もし私の事を信用していただけたら、行冥さんってお呼びしてもいいですか?」
「…何故だ?」
脈絡のない私の提案に、困惑と疑いが混じった、難しい表情をしている。