第15章 岩柱
空が徐々に白み始め、目を覚ます。
昨日は色々とありすぎて、流石に床につけば、1分とかからずに寝てしまった。
昨日は本当に濃い1日だった。
布団の中で大きく伸びをし、そして、起きる。
今日も濃い1日になるだろう。昨日とは比べ物にならないくらいに、だ。身なりを整えながら、考える。
今日のこの行動が大きな鍵になる。
今後の実弥さんと玄弥くんの関係性を良くしたい。それが今回の最終的な目的であり、そのための第一歩だ。
物語として変わってしまう部分ではあるが、ここだけは譲れない。
何とかしたいのだ。
あんな悲しい最期は、絶対に避けたい。
そのために、私はここにいる。
昨日、再確認したことだ。
布団も片付け、台所に向かう。隣の部屋の襖は空いたままで、実弥さんはまだ戻っていない。
食事やお風呂の準備をしながら、今日の予定を再確認する。
朝9時には隠の人が来てくれる。
悲鳴嶼さんにもお館さまから、私が行くことは伝えて貰っているようだから、行けばいいだけだ。
お館さまには私がなぜ悲鳴嶋さんの所に行くのか、分かっているようだ。
二人によろしく、と言っていたと、木蓮が教えてくれた。
9時だと、結構早めに準備を終わらせておかないと。
そう思い、バタバタと仕事をこなす。
悲鳴嶼さんはどんな人なんだろう。
主要な登場人物とは、ほとんどが突然会うことになったので、緊張したり考えたりする余裕なんか全くなかった。
けど、今回は違う。
自分から、お願いして行くのだ。
鬼殺隊員でもない、得体の知れないただの女が、会いに行く。それだけでもかなり特異だ。
些か不安は残るが、これ以上考えた所で答えは出るはずもない。今まで通り、当たって砕けろ的な感じで乗り切るしかない。
何を話せばいいのかも、分からないが、まぁどうにかなるだろう。私のいい部分でもあり、悪い部分である、大雑把が発揮される。
そんなことを考えていれば、空はすっかり明るくなっていたのだった。