第14章 お出かけの続きを
記憶に捕らわれていたが、このお屋敷までの実弥さんとの何気ない会話で、現代のノブから、鬼滅の刃の世界のノブに戻ってこれた。
本質は変わらない。だってどちらも、私だ。
でも、捕らわれていると、支障をきたす。
子どもや夫のことを忘れた訳ではない。
未だにどうしているだろう、申し訳ないという気持ちが沸き上がる。
でも、そう考えたところで、どうしようもないのだ。
目の前には実弥さんがいる。
その後ろには、鬼滅の刃の世界が広がっていて、私もその場に立っているのだ。
思うことは色々あるが、まずは目の前のことに全力で取り組むしかないのだ。何もできないからこそ、私の言動でこの世界の結末を暗いものにしてはならない。
目の前の人、私と関わることになった人、その人たちが、せめて幸せな時間を過ごして欲しい。
鬼殺のことから少し離れてもいいのだと、気づいて欲しい。
そのために、私はこの世界に来た。
だからこそ、私がいる意味があるのだ。
そう自分を納得させた。