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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第14章 お出かけの続きを


その瞬間、珍しく焦った声で実弥さんが私を呼ぶ。

「ッ!おいッ!ノブッ!!」

「ん?実弥さん、どうしました?」

いつも落ち着いている実弥さんが、こんなに焦っている姿は珍しい。何かおかしなことでも言っただろうか?

「お前、手が………いや、大丈夫だァ。それでェ?」

まだ少し驚いたような顔で、実弥さんはじっと私を見ていたが、ふと顔を反らし話を続けるように振られる。
手と言われ、見てみるが、何も変わったところはなかったので、話を続けた。

「まぁ、そんなことを考えてた訳です。でも今話してて何だかスッキリしました。
私、ここで必要ないかもしれないけど、私は今ここにいるんですよね。今から、この世界で何かできるかもしれないし。
こんな私ができることが、たぶんあるんです。それをするためにここ来たんですよ、たぶん。記憶はまた思い出すだろうし、それに捕らわれるかもしれないけど。
前を向いていかないと。時間は待ってくれませんからね」

実弥さんを見て笑いながらそう言う。長々と喋ったが、やっぱり口にすることで、考えがまとまった。
この世界に来たいと思ってた。実弥さんに会いたいと思ってた。ここに来れたのは、私が何かできることがあるからだ。

「うん。スッキリしました。ありがとうございます、実弥さん。最後まで聞いてくれて。ぐちぐちごめんなさい。何だかよく分からないけど、分からないなりに、私の中で整理できました。前を向くしかないですね。さぁ、帰りましょ!」

「…ちゃんと、役に立ってるよ」

「えっ?」

実弥さんの言葉に驚き、自分の言葉が続かない。

「毎日屋敷のことを、やってるだろうがァ。俺はノブが来てから、かなり楽をしてる。まぁ、うるさいし、馬鹿だし、迷子にはなるし、手はかかるけどなァ。でも、役に立ってないことは、ねぇ。そんなに自分を卑下すんなァ」

「本当…ですか?」

実弥さんからの返事や感想は全く求めてなかったし、貰えるとも思ってなかった。だからこそ、実弥さんが伝えてくれようとしたことが、最初は驚きで、理解ができなかった。
でも、役に立ってるってことが理解できた時、嬉しさで声がちゃんと出なかった。


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