第14章 お出かけの続きを
「そうですよねぇ。でも、サムはかわいかったし、サムのお父さんがね、とってもおもしろい方だったんですよ。外国人のイメージ通りの方で…」
「あァ?イメージ?何だァそれはァ?」
気を抜いていた。できるだけ、カタカナ文字は使わないようにしてたのに。
「うんと、イメージは、自分の中にある印象とか、姿とか、って感じですかね~。すごく楽しい方だったんですよ。あと、あまり話が噛み合わない感じもあって、おもしろい方でしたよ」
「言ってる意味が、全くわかんねぇ」
「とにかく、楽しい方でしたよ」
サムのお父さんを思い出せば、今でも笑いが込み上げる。
「何、思い出して笑ってんだァ。まぁ、西瓜の経緯は分かった。んで、お前は何を考えてたんだァ?」
足を止めることはなく、でも実弥さんは私の方を見て、尋ねる。その顔に眉間の皺はない、とは言えないが、先ほどよりは幾分表情は和らいでいる。
そして、律儀に私の話を聞いてくれる。そこが実弥さんの優しさなのだと思う。嬉しくて、質問の答えではない言葉が、つい出てしまう。
「実弥さん、優しいですね。そんなところが大好きですよ」
「アァッ!質問に対しての答えがおかしいだろッ!話す気がないなら、聞かねぇぞッ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!聞いてくださいッ!お願いします~」
「早くしねぇと、甘露寺も戻ってくるぞォ」
そうだった。蜜璃ちゃんがいないうちに話さないと…。
「そうですね。ええっと、かなり話がまとまらないんですけど、取りあえず、今から話すことは聞き流してくれたらいいんで!
そうですねぇ、実弥さん。私の記憶の話、覚えてますか?」
「お前、未来の記憶しかないんだろう。確か四十だって言い張ってたなァ」
ちゃんと覚えてくれていることが嬉しい。まぁ、お館さまのところまで行ったのだ。覚えていない方が、おかしいか。