第14章 お出かけの続きを
「記憶のことか?甘露寺もお前がおかしかったって言ってたなァ」
私の拙い言葉でも、実弥さんにはちゃんと伝わった。蜜璃ちゃんも私がおかしかったことを気にしてくれて、実弥さんに伝えてくれたのだろう。せっかくのお出かけだったのに。申し訳なさが胸に広がる。
「あぁっ!蜜璃ちゃんにも心配かけちゃったんですね。今日はちょっと色々考えることがあって…でも、話もできなくて…」
「あぁ、もう分かった。おいッ後ろばっか向いてんじゃねぇ。とりあえず行くぞ。話しは聞いてやるから」
下に置いていた西瓜を実弥さんが持ち、歩き始める。
「ありがとうございます、実弥さん」
涙を拭き、振り返り、私も歩き出す。もう涙は落ち着いた。
実弥さんに駆け寄り、横に並んで歩けば、実弥さんから話を振られる。
「それでェ、この西瓜は何なんだァ。一体どうやったら、こんなに大量の西瓜を貰うことになるんだァ?」
「ああ、それはですね…サムのお父さんがくれたんですよ」
「アァッ!!サムだァ?誰だそれはァ!説明しろと言ったが、端的すぎるだろォッ!」
眉間に皺を寄せながら、実弥さんは言う。ちゃんと話を聞いてくれてるのが、嬉しい。
私は詳しく説明していく。
外国人の迷子を見つけ、その子の両親を探したこと。お礼にお金をくれそうだったので、断ったが断りきれず、結局西瓜を貰ったこと。その西瓜が店にある分、全部だったこと。
「金を貰えば良かったんじゃねぇかァ」
「いや、ただの迷子を見つけただけで、お金は貰えないでしょ。お金を貰うためにしてないですし」
「金だったら、こんな事にはなってないぞォ」
的確な指摘だ。でもやっぱり、ただ迷子を両親に届けただけなのに、お金は貰えない。
「…そうですね。ごめんなさい。まぁ、これはこれでいいかなぁって。こんな経験できないですし」
「んな、毎回毎回こんなことがあって堪るかッ!」
眉間に皺を寄せながら言われる。もう、さっきからこの顔の実弥さんばかり、見ている気がする。