第14章 お出かけの続きを
大通りを歩いているが、視線がかなり痛い。それもそうだろう。女の子が丸い風呂敷を五つも両手に抱えて歩いているのだから。
でも、みんな中身が西瓜だとは、夢にも思わないだろう。
「蜜璃ちゃん、大丈夫?重くない?一個は私が持とうか?」
「大丈夫よ、ノブちゃん。私、人より力持ちだから、これくらい全然平気なの」
「そうなの?それでもごめん。結局全部持って貰っちゃってる」
そう言うと、少し蜜璃ちゃんの顔が曇った気がした。
「いいのよ。本当に重くないんだから、気にしないで」
確か蜜璃ちゃんはこんなに天真爛漫だけど、色々と自分を出すのをためらってた気がする。かなり曖昧だが、記憶を手繰り寄せる。
「うん。分かった。じゃあ、こう言うね。持ってくれてありがとう、蜜璃ちゃん。とっても助かります」
「何、それ~?嬉しいわぁ」
蜜璃ちゃんの顔がパァッと明るくなった気がする。
「だって、私が謝ってばかりだと、蜜璃ちゃんが悪いことしてるみたいじゃない?それじゃいけないと思って。お礼を言った方が気持ちが伝わるかなって。だって、こんなに力持ちなのよ。すごいじゃない。蜜璃ちゃんだけの個性だし。だから、ありがとう」
「うん。嬉しい」
「良かった。よろしくお願いします」
そんなことを話していると、空から黒い物体が目の前に降ってきた。
「わぁ、木蓮ね。おかえり。早かったわね」
「私ニ気ヅカナイデ、驚イタデショ」
「はい。ごめんなさい。とても驚きました」
「素直デ、ヨロシイ。オ館サマカラノ伝言ヨ。蜜璃ガ、屋敷マデ届ケテ欲シイ。デキレバ早メニ。
岩柱ニハ、明日」
「分かった。お館さまには蜜璃ちゃんに届けて貰うわ」
「明日ノ件ハ、マタ後デ。隠ノ所ニ、行ッテクルワ」
そう言うと、木蓮はすぐに青い空に向かって飛び立った。