第14章 お出かけの続きを
「そうだったの…ごめんね、ノブちゃん。私ばっかりお買い物してたから、楽しくなかったんじゃないかと思ったの。私もね、同じくらいの子とお出掛けするの、久しぶりだから、本当に楽しかったの。だからこそ、ノブちゃんの反応が気になってて…
記憶の断片はあるのね。何度か来ると、また何か思い出せることも出てくるかもしれないわね。良かった、安心した。話してくれてありがとう。ごめんね、勘違いしちゃって」
「ううん。私こそごめんなさい。まさか、こんなにお出掛けの最中に考え込むなんて、思ってなかったの。本当に蜜璃ちゃんとお出掛けできて楽しかったよ。蜜璃ちゃんが色々なお店に連れてきてくれたからだよ。また一緒にお出かけしてくれる?…考え込んじゃうかもしれないけど」
行きたい気持ちは山々だが、間違いなく考え込んでしまうだろう。段々と声が小さくなっていく。
「ええ。もちろん。私こそお願いしたいわ。とっても楽しかったんだもの。考え込んでも大丈夫よ。もう理由は分かったし。私こそ、また誘ってもいい、ノブちゃん?」
蜜璃ちゃんの笑顔は、私の不安を一気に吹き飛ばしてくれる。
「うん!また誘って!一人じゃここまで来れないから、連れてきて~!迷子になっちゃうから、お願い~蜜璃ちゃ~ん!」
私も笑顔で答える。最後は懇願と言ってもいいかもしれない。
「分かったわ!連れてきてあげるわ。任せて!」
そう言うと、二人で顔を見合せ、笑い始める。何だかんだ、こんなにしっかりと話したのは初めてかもしれない。このお出かけで、蜜璃ちゃんとより仲良くなれたと思う。
涙が溢れるくらい、二人して一通り笑った所で、途中だった甘味を食べ進めたのだった。