第14章 お出かけの続きを
「色々と寄ったから、思ったより時間がかかっちゃったわ。ごめんね、ノブちゃん。私ばかりがお買い物したから、待たせてばかりだだったでしょ」
店を出てすぐに蜜璃ちゃんがそんなことを言い出した。
「えっ?私はとっても楽しかったよ。私はお店を知らないから、蜜璃ちゃんのおかげでたくさん回れたし。それに、さっきの着物屋さんでこれを買ったのよ」
そう言いながら、先程買った生地を取り出し、蜜璃ちゃんに見せる。
「何それ~?そんなものが売ってるの?知らなかったわ!でもそんなに小さな端切れをどうするの?ノブちゃん」
「うまくできるか分からないけど、リボンをこれで作ろうと思ってるんだ。うまくできたら、蜜璃ちゃんにあげるね」
「えーー!!リボン?作れるの?この生地で作っちゃうの?とっても楽しみだわ!」
もう貰えると思ってしまっている。初めて作るから、本当に作れるかどうか分からないのに…
「蜜璃ちゃん、蜜璃ちゃん。うまくできたら、だからね。うまくできないかもしれないし…」
「大丈夫よぉ!ノブちゃんなら、うまく作れるわ!楽しみにしておくわね」
「分かった。がんばるよ。そろそろ帰る時間だよね?最後に甘味屋に寄ってもらってもいいかな?」
これは、何とか頑張って作るしかなさそうだ…。とりあえず、リボンの話からはそらしてみれば、すぐに話は変わる。ここが蜜璃ちゃんと話して飽きない理由の一つでもある。
「ええ!もちろんよ、ノブちゃん!」
そう言って、蜜璃ちゃんと歩けば、ものの数分で甘味屋に着いた。赤い暖簾をくぐり、中に入る。華子さんの甘味屋よりも大きく、店内飲食のスペースも広い。どことなく華子さんの甘味屋に雰囲気が似ている。
「いらっしゃいませ!あら、甘露寺さま。お久しぶりですね」
「こんにちわ。今日はお友達も連れて来たの。ノブちゃん、時間があまりないけど、せっかくだから食べていきましょ」
「うん。でもどれにしようか迷っちゃうなぁ」
店員さんの元気な声と、蜜璃ちゃんの声が店内に響く。ここも蜜璃ちゃんはお得意様のようだ。毎回すごい量を買っていくだろうから、店員さんにすぐに覚えられるだろう。