第14章 お出かけの続きを
いいものが買えた。そう思いながら、回りを見渡す。少し奥で蜜璃ちゃんはまだ着物を選んでいた。
もう少しかかりそうだな。
そう思い、また、店内の着物を見渡す。着物は、成人式と友達の結婚式の時に着た位だ。
今は着物のようなものを着ているが、振り袖のようにきちんとは着ていない。今の袴姿も慣れたが、着物はさすがに無理だなぁと思う。
それにしても、キレイな柄の着物ばかりだ。
「良かったら、着物、着てみませんか?」
「ふぇっ!」
急に後ろから声をかけられ、驚き、変な声が出てしまった。
振り替えれば、先程の男性がクスクスと笑いながら立っていた。
「すみませんッ!ぼんやりしていて。いやっ、まさかまた声をかけられるなんて思っていなくてっ!本当にすみませんっ!」
恥ずかしすぎて、早口になる。耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。
「いえいえ、声をかけてしまった私の方が悪いんですよ。あまりにも楽しそうに着物を見ていただいていたので、つい声をかけてしまったんです。気に入った着物はありますか?」
「いえいえいえいえっ!もう、私は見るだけでいいんです!いや、見ているだけって、そんな客だめですよね。ごめんなさい、こんな客で。今友達を待ってるんです。なので私は…あーもう、とりあえず、すみません」
「落ち着いて。大丈夫だから。では甘露寺様の?」
「そうです~!私は一緒に来ただけで…だから、本当にすみませんっ!」
「いえ、熱心に見てたので、つい声をかけてしまったんです。驚かせてしまって、こちらこそすみませんね。今の袴姿も素敵だけど、着物もお似合いになりそうだと思って」
「いやいや。私はこんな高価なものは似合わないですよ。しかも熱心にって言うわけでもなくて…、本当ただ見てただけなんです…何から何まですみません…」
申し訳なくて、段々と声が小さくなっていく。