第14章 お出かけの続きを
まずは蜜璃ちゃんの一番のお勧めのお店に向かった。
「ここよ!最近出来たの」
入った途端に息を飲んだ。小さな店内は所狭しとたくさんの女性客で溢れていた。
店内に一歩足を踏み入れると、異世界に入り込んだような感覚に捕らわれる。この大正という時代に、この雰囲気はかなり異質だ。でも、心地よいのだ。
店内だけを改装しているようで、どこか異国感が漂う。商品が並べてあるが、かなり余裕を持って展示されており、それが所々に置いてあるランプと窓から入る光によって、キラキラと輝いていた。
アクセサリーのお店だ。リボンなんかも売られているが、ここの主力は石や硝子などで作ったイヤリングなのだろう。この時代にもうイヤリングが売っていることに驚いた。
「どう?すごいでしょ。ノブちゃんにも見てもらいたかったの。どれも可愛いわよね~」
店に入った途端に圧倒され、言葉も出なかった私に蜜璃ちゃんが声をかけてくれる。
「さぁ、中でゆっくり見ましょう!」
そう言い、私の手を取り中へと進む。いくつか手に取り、ランプにかざせばゆらゆらと揺れながら、キラキラと光る。かなり大きなものが付いていたが、でも、本当にキレイだった。
蜜璃ちゃんはいくつも手に取り、どれにしようか悩んでいる。
「ねぇ、どれがいいと思う?」
手には三つイヤリングを持っている。桃色と白色、それに赤色だ。蜜璃ちゃんくらいの可愛い子であれば、どれをつけても似合うだろう。
「どれも似合うよ。せっかくだから、全部買ったら?」
「ええっ?全部かぁ。どうしようかなぁ」
お金は持っているだろうから、こんな可愛らしい贅沢はさせてあげてもいいと思う。
「ノブちゃんはどれにする?」
「私は、見るだけでいいわ。キレイだなぁとは思うけど、あまり欲しいとは思わないから。普段つけないし、そもそもつけて行くところもないし」
「え?そうなの?」
「私は見るだけで充分。私の事は気にしないで、蜜璃ちゃんは買って!蜜璃ちゃんがつけてるところ、見たいし。たまには女の子らしい贅沢していいんじゃない?」
「…ノブちゃんが買わないのは残念だけど…そうね。私は買うわ。前から欲しいって思ってたし」
「そうそう!自分が欲しいものを買うのが一番よ」
そう言えば、蜜璃ちゃんは三つイヤリングを購入したのだった。