第14章 お出かけの続きを
「ねぇ、蜜璃ちゃん。西瓜、どうしよっか」
お礼にと貰った西瓜の事が気になって、蜜璃ちゃんに問いかける。
「どうするかなぁ~。半分に分けようか」
「五個もあるけど…蜜璃ちゃんは二個くらいなら全然食べれるんだよね?」
「ええ!」
「じゃあ、それぞれ二個ずつと、残りの一個は半分こにしてもいいかな?」
ふと、西瓜の行き先を思いつき、蜜璃ちゃんにキレイに半分にするという提案をする。
「いいわよ~!西瓜、美味しいのよねぇ。ノブちゃんは不死川さんと食べるの?」
「そうだね。半分にした分は食べようと思ってるけど、二人だと全部食べれるかなぁと」
「え?半分?残りの二つは?」
不思議そうな顔で蜜璃ちゃんは私に尋ねる。
「一つはお館さまに。もう一つは、他の柱の方に、と思ってるの。柱の中で一番長い方、というか、一番上の方ってどなたになるの?」
それは悲鳴嶼さんだ、ということは知っているが、蜜璃ちゃんに改めて聞く。
「一番長くて年齢も一番上なのは、悲鳴嶼さんよ」
「じゃあ、残りの一つは悲鳴嶼さんに。不死川さんがお世話になってるだろうし、私も今後お世話になるかもしれないし…」
それに、玄弥くんに会うきっかけにしたい。それは、そっと心の中で呟く。
「じゃあ。私も誰かにあげようかなぁ…」
私の話を聞いて、何やら考えているようだ。
「ダメダメ!蜜璃ちゃんは全部食べれるんだから、食べて!私は食べれないから、悪くなる前にお裾分けさせて貰うだけなの」
「でも…私だけ全部食べるのも…」
「いいの!蜜璃ちゃんは気にせず食べて!その方がサム達も喜ぶはずよ。あ!そうだ!それなら、伊黒さんと一緒に食べるのは?お誘いしてみたらどうかしら?」
「えっ!あっ…そ、そうね。でも、伊黒さん、西瓜好きかしら」
伊黒さんは西瓜だけでなく、何を出したとしても人前では食べないだろう。でも、伊黒さんは蜜璃ちゃんからのお誘いは断らないはずだ。頂いたこの西瓜をきっかけに、二人で会う時間が増えるのはいいことだ。
「大丈夫、大丈夫。伊黒さんは、蜜璃ちゃんから誘われたら、断らないはずだよ~。もし食べなくても、持って帰って貰ってもいいんじゃない?」
「そうね!早速帰ったら手紙を送るわ」
ほんのり頬が桃色に染まり微笑む蜜璃ちゃんは、見ているだけで幸せになる。