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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第13章 迷子


蜜璃ちゃんに言われた通り、真っ直ぐに歩いて行く。抱っこをしている分、ゆっくりとしか歩けない。
周りのお店を見ながら歩けば、いつも行く町とは違って、たくさんの種類のお店がある。装飾品のお店やお土産屋のようなお店がたくさんある。途中、芝居小屋のようなところもあった。たくさんの幟が立っていた。

観光で来ているような人もいるのだろう。着物や洋服を着ているが、着飾っている人が多いと感じる。
いつの時代もちょっとお出かけするには、いい服を着ているのだろう。さすがにここに普段着で来ていたら、ちょっと浮いていたかもしれないから、今日の選択は間違っていなかったハズだ。

「サム~大丈夫?」

「…ンーー」

頭を私の肩に乗せているサムはもう寝てしまいそうだ。返事はしたものの、動きはない。
仕方ないだろう。両親に会うまでは寝ててもいいだろう。抱き直すと、そのまま真っ直ぐ進む。

程なく、ほんのりと甘い匂いが鼻を掠める。

「あっ、いい匂い!」

思わず言葉が出る。歩みを進めれば、どんどん匂いがはっきりとしてくる。

「あぁ、本当にいい匂い。あんこだなぁ」

ぶつぶつと呟きながら、匂いがする方に歩いていく。
蜜璃ちゃんが言っていたように、左手に花田屋はあった。赤い暖簾は華子さんの所の甘味屋と一緒だ。この時代の甘味屋は、赤い暖簾が主流なのだろうか。
とりあえず、おはぎは買って、あとは何を買おう。夏だから水饅頭みたいなものはないかなぁ。やぶれ饅頭も食べたいけど、この時代にあるのだろうか。

そんな事を考えながえていれば、花田屋の前まで来ていた。

「蜜璃ちゃんはさすがにまだかぁ」

周りを見回しても、蜜璃ちゃんの影も形もない。
花田屋の前で待ち合わせだから、ここからは動かない方がいいだろう。それにサムはもう寝てしまって、かなりどしっとした重さが腕にのしかかる。

「よいしょっ」

抱き直して、花田屋とその隣の店の間位に立つ。日差しが少し強くなってきたので、日陰に入れば、すぅっと風が体の横を抜けていく。

ふと、前を見れば、野菜屋だった。少しだが、果物も売っているようだ。ピンクの桃が緑の中に鎮座する。紅一点とは、この事だろう。
他の緑にも目を向ければ、ひときわ大きな丸い玉に目が止まる。緑と黒の縞模様の大きな玉にだ。


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