第13章 迷子
「ねえ、蜜璃ちゃん。この町って、外国人の人って住んでるのかな?」
「何度も来てるけど、たまに見かける程度かしら。いたら目立つからね。でも住んでるかは分からないわ。同じ人ではなかったと思うから。たまに買い物とかに来てるだけかもしれないわ」
蜜璃ちゃんは思い出しなから話してくれる。
「そっか~。買い物に来てたのかな。ご両親もたぶん探してるだろうから、町の中心まで行けば手がかりは見つかるかな」
「そうね。早く見つけてあげましょ」
「ね、サム。おばちゃんと蜜璃ちゃんががんばって見つけるからね」
「ノブちゃん、おばちゃんじゃないわよ」
「…そうね、そうだったわね。この子からしたら、おばちゃんだと思ってね」
「ノブ?」
サムには何を話しているか分からないだろう。首を傾げながら、私の方を見上げている。名前だけは分かったのだろう。
「ごめんね。大丈夫よ。そう、ノブでいいのよ、サム。さぁ、歩こう」
笑顔でサムを見れば、サムも笑顔になる。
この感覚は久しぶりだ。極力考えないようにしていた子どものことを思い出す。
一番下はサムと同じくらいだ。どうしているんだろうと、胸が締め付けられる。
「ノブ?」
サムが不安そうにこちらを見ていた。子どもは敏感だ。子どもの事を考えていて、少し表情が曇ったのを見逃さなかったのだろう。
でもそれだけサムは、私の事を信頼してくれている証だと信じたい。
「ん?大丈夫よ」
笑顔で答えれば、鏡のようにサムも笑顔になる。
そうだ、そうだった。子どもはそういうものだった。
不安になったとしても、顔には出してはいけない。
入り組んだ道を行けば、少しずつお店が見え始め、それに伴って人も増えてきた。
目についたお店で、聞いてみる。
「こんにちわ。この子のご両親を見ませんでしたか?」
「いや~見てないねぇ」
進みながらいくつかのお店で聞いてみるが、同じ返事だ。こちらの方には来てないのだろう。
「もっと向こうに、町の中心に行ってみましょう」
蜜璃ちゃんも一生懸命探してくれている。
二人でサムを見れば、サムも笑顔で頷く。言葉は理解できなくても、気持ちは伝わってるのだろう。