第13章 迷子
蜜璃ちゃんと話しながら行けば、遠くに見えていた町ももう目の前だ。いくつかの家の横を通り過ぎる。ここが町の入り口になるのだろう。
まだまばらにしか家はないが、もう少し先には町が広がっている。でも、かなり入り込んでいそうだ。まっすぐだった道が、いくつかの家でその先が見えなくなっている。
案の定、街中へ到着するまで道はいくつか分岐点があった。
一つ目の分岐点で、思った。
これは、少しでも蜜璃ちゃんと離れたら間違いなく迷子になる、と。
二つ目の分岐点に差し掛かった時だった。細い路地に座り込んでいる男の子がいた。まだ小さい。泣いているようだ。
「蜜璃ちゃん、ちょっといい?」
蜜璃ちゃんに声をかけ、その男の子の側に行く。間違いなく泣いている。
そんなに違和感を持たなかったが、よく見れば洋服を着ている。髪もきれいな銀髪だ。外国人なのだろう。
「どうした?大丈夫??」
「……」
顔を上げたが、何も言わず、まだ泣いている。言葉が分からないのかもしれない。
横に膝をついて座り、その子の目線に合わせて、再度話しかける。
「もう大丈夫だよ」
笑顔でそう言い、その子の頭をゆっくりと撫でる。
我慢していたのだろう。突然、大声で泣き出した。
「えっ?えっ?大丈夫ッ?どうしたの~ッ?」
「大丈夫よ、蜜璃ちゃん。落ち着いて。大丈夫だから」
急に泣き出した男の子に驚き、慌てる蜜璃ちゃんに、声をかけ、再度その男の子の目を見て声をかける。
「もう大丈夫だからね、さぁ、おいで」
そう言い、その子の脇の間に手を入れ、すっと持ち上げ、私の膝の上にのせる。突然のことに少々驚いたようだけど、暴れたりはしない。
それを確認して、ゆっくりと抱き締める。
「大丈夫よ。もう大丈夫だからね」
何度もそう言いながら、背中をトントンと優しく手で叩く。最初は大泣きしていたが、徐々に落ち着いてきた。
鼻をすする音は聞こえるが、もう泣いてなさそうだ。