第12章 お出かけ
隣町まではだいたい一時間位だろうか。ひたすら話しながら、歩き続ける。
ほとんど蜜璃ちゃんの話を聞いていた。それでいいのだ。蜜璃ちゃんの話しはとても面白い。
そして、他の鬼殺隊員、とりわけ他の柱のことがよく分かる。
心配だった煉獄さんもまだ意識は戻ってないようだけど、状態は安定していて、日々回復しているようだ。
安心した。
まだ意識は戻ってなくても、状態が安定しているなら、もう目を醒ますだろう。後遺症は残るかもしれないが、命があればどうにかなる。どうにでもなるのだ。
あとは、伊黒さんのことだ。
伊黒さんには会っていないのに、前から知っている人のようだ。どんな風に蜜璃ちゃんの目に写っているのかが、よく分かる。蜜璃ちゃん自身は気づいてないのだろうけど、伊黒さんのことを話す時は本当に嬉しそうだ。そんな姿を見ると、好きなんだろうなぁと思う。
あとは天元さんやしのぶさんも少し出た。
遠くに町が見えてきた。
遠目から見ても、かなり大きな町だと分かる。
「隣町って、あれ?すごく大きな町だね」
「そうなのよ。洋食屋さんだけじゃなくて、他にもたくさんお店があるから、色々と行きましょ。そういえば、ノブちゃん、行きたいお店はある?」
蜜璃ちゃんが笑顔で尋ねる。
「うん。甘味屋の花田屋さんに行きたいかな。お土産買いたいの。あとはよく分からなかったから、蜜璃ちゃんのお勧めのお店に連れてってくれると、嬉しいな」
私の言葉に、蜜璃ちゃんはぱぁっと華が咲いたように、更に笑顔になる。
「花田屋ね!あそこの桜餅もおいしいのよ~!私も行こうと思ってたから、行こうね。お昼ごはん食べて、その後行きましょ。せっかくだから、お店で食べて、お土産買って帰ったらいいわね。じゃ、お昼までは私のお勧めのお店に行きましょ。ふふ。楽しみだわッ!」
お昼食べた後に、すぐ食べに行きそうな勢いだ…
まあ、私はお土産だけ買えばいい。蜜璃ちゃんの食べてる姿を見るのも好きだし。
「私も楽しみ。ねぇ、お勧めのお店って、何のお店?」
「ふふふ。それは後のお楽しみよ~」
「え~!気になるなぁ」
そんな他愛のない話をしながら、更に町へと向かって歩みを進めていった。