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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第12章 お出かけ


部屋に戻り、早速返事を書く。

『甘露寺 みつりさま

お誘いありがとう。ぜひ連れていって下さい。実弥さんも行っていいと言ってくれました。
当日はこっちで待ってたらいいのかな。
楽しみにしてるね。

三井ノブより』

蜜璃ちゃんの字は難しくて、まだ平仮名だ。何とか名字は書いているけど、『露』の字はひときわ大きくなっている。いつになったら上達するのだろうと、ため息をつく。
それに、手紙の内容もだ。この時代の作法…いや、現代でも作法はあったのだけどが、筆で書くということに慣れてないので、もう口語調だ。書くことに精一杯で、これ以上は無理だと、諦めている。
蜜璃ちゃんだから許されるのかな、とは思う。
他には実弥さんに置き手紙を書く事と、お館さまに書いた位だ。

実弥さんからは、字が汚いという指摘は受けたが、他は何も言われてないから、もうそのままだ。
まぁ、言われたところで書けないのだけど。

それにしても、隣町かぁ。
未だにここが現代の住所的にどこなのか分からない。
話の中でたまに地名は出てくるのだが、東京とは違う地方にいた私にとって、全く馴染みがなく、聞いても分からないのだ。
有名な浅草や銀座、それこそ吉原遊郭なんかは聞いたことがあるけど、地理的には全くだ。
日本地図で、ここが東京とかいうのは分かる。でも、細かくなると、ダメだ。23区の位置すらよく分からない。そんなことも分からないのかと突っ込まれそうだが、住んでいなければ、23区なんてただテレビで聞く程度だ。場所を知らなくても生活できる。
まぁ例えここが23区のどこだと知った所で、そうなのかぁと思うだけだし、方向音痴の私はどこへも行けない。

そんな事を思いながら、墨が乾くのを待つ。

「木蓮、いる?」

外に向かって声をかける。

「イルワヨ。手紙ノ返事ネ」

「さすが!これを蜜璃ちゃんまで届けてくれる?」

「分カッタ。行ッテクルワ」

木蓮に手紙を渡すと、すぐに飛び立ち空に消えていった。

「すごいなぁ、鎹鴉って…。普通に話してるけど、あれ鴉なんだよなぁ」

木蓮が消えた空を見ながら呟く。
当たり前の様だが、普通に考えれば、鴉が喋ってるのだ。驚くことだろう。

「ふッ。ふふふッ」

改めて思うとおかしな事なのに、当たり前にしていることに、何だか笑いが込み上げてきたのだった。


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