第11章 炎柱
実弥さんとの秘密のコトがあってから、2~3日が経った。気まずい感じは、あの最初だけだった。
あのあとはもう、いつも通り。
少しだけ、実弥さんの表情が柔らかくなった気がする。でもそれは、自分が勝手にそう見ているだけかもしれない。
まぁ、関係としては、これでいい。
気まずい雰囲気は嫌だ。
そこは実弥さんは、泣いた赤鬼を地で行く人だから、相手によくみてもらおうとかいう打算がないから、付き合ってて楽だ。
全く裏表がない。
まぁ、なさすぎて、思い込んだら一直線だから大変だけど。
ん?猪突猛進タイプの誰かさんに似てるのかしら。
そんな事を考えながら、洗濯物を干す。
時折実弥さんを眺めながらだ。
今日は実弥さんは朝から外で稽古中だ。型を放つようで、心地よい風が私の横をすり抜けていく。
抜けるような青空が広がっている。
そろそろ、夏に入る。暑さに慣れていないから、大丈夫か不安はあるが、まぁ、これもなるようになるだろう。
この生活にも慣れたのだ。
気候にも慣れるのは早い気がする。
私は洗濯物を干しながら、遠くで稽古をしている実弥さんを時折盗み見る。やはり型を放つ姿は、風神さまのようだ。風柱なだけあって、風がよく似合う。
普段の生活でも、風のようなところがある。
何度も何度も、私の顔を、優しい風が通りすぎていく。パタパタと、洗濯物も風が吹き抜け、すぐに乾いてくれそうだ。
そんないつもと変わらない朝を迎えていた。