第10章 秘密 *
【実弥side】
だが、ノブは被せるようにして聞いてくる。
「で、どうなんですか?気持ち良くないですか?」
「……気持ちいい」
顔は見れず、視線を外しボソボソと呟く。
「ん?聞こえませんけど」
分かっている筈なのに、聞いてくるノブに、若干苛つきを覚える。
「……気持ちいいに決まってるだろッ!」
早口で吐き捨てる。
こんな事を二度も言わされたことに、恥ずかしさと苛立たしさが込み上げる。
「じゃあ、いいじゃないですか。恋人同士じゃなきゃしちゃダメってこたもないでしょ?お金を払ってするんでしょ、こういうこと。お金を払えばよくて、これはダメってことはないでしょ。二人とも同意の上で、二人ともが良ければいいと思いますよ。減るもんでもないですし」
どういう考え方だ。確かに減るものではないが、そういうもんじゃねぇだろォ。
「……俺はいいかもしれないが…。ノブはどうなんだ。したとして、ノブは何も得する事はないんじゃねぇか」
「え?普段見れない実弥さんを見れるだけで、私のやる気はあがりますよ~。それに、いつもがんばってる実弥さんに、何かしてあげたいんです。あとは、私が実弥さんを気持ちよくさせてあげてるって、優越感は、すごく嬉しいじゃないですか」
「なんだ、それは…お前はそんな理由で、やるのかァ」
「そんな理由じゃありません。ちゃんとした、私にとってはとっても大切な理由です。だから、心配しなくても私は大丈夫ですよ」
…どこが大丈夫なんだァ。
「……変な奴」
「いいじゃないですか。もう。そんなに深く考えないでいいんですよ…」
柔らかい声が聞こえたと思うと、左手も添えられ、包み込むようにゆっくりと上下していく。柔らかい手の温もりと、上下の刺激で声が漏れる。
「……うッ……」
その声を肯定と受け取ったのか、ノブは俺のモノを口に咥える。口の中の生暖かく、柔らかい感覚は、今まで感じたことがない。