第10章 秘密 *
【実弥side】
「気持ちよくないですか?じゃあ、これは?」
急にノブは目の前から消えた。
ノブは両手で包み込んでいたモノを、ぱくっと口に咥え、ゆっくりと上下していく。
何だァ、この感覚はァ。
背筋がゾクゾクする。徐々に手に力が入っていく。
だが、さすがにこれは駄目だ。手伝いの領域じゃねぇ。
「おいッ!やめろッ!」
「ひもちよく、ないでふか?」
俺のモノを口に咥えたまま、下から見上げる姿に、ゾクッとする。いや、咥えたまま喋ったからだ。そんな気持ちを書き消すように、苛立ちながら言う。
「口に入れたまま喋るなッ!」
口は離したが、手は離していない。ゆっくりと上下させながら、ノブは口を開く。
「気持ちよく、ないですか?」
「やめろッ!そういう問題じゃねェッ!」
「え?そういう問題ですよ。気持ちよくないなら、やめます。でも気持ちがいいなら、続けます。実弥さんが気持ちよくなってくれるなら、嬉しいですし。そのお手伝いができるんなら、やりたいですし」
「そういう訳にはいかないだろッ!」
触り続けてられているモノは、大きく反り上がり、カチカチに硬くなっている。苦しい。早く出したい。なのに、ノブは全く引き下がる気配はない。
「いいんですよ!実弥さんは気持ちよくないんですか?されることが、嫌なら…気持ち悪いならやめます。どうなんですか?」
「それと、これとは、話が違うだろッ!」
「違いません!私は実弥さんが気持ち良くなってくれるなら、それでいいんです。私がいいって言ってるんですよ。そんなに嫌ですか?」
いくらなんでも、ノブにこんな遊女みたいな真似をさせる訳にはいかない。ノブのためを思って言っている筈なのに…。あんなに真っ直ぐに見ていたのに、視線を外し俯いてしまった。
本当にノブは嫌じゃないのか。
「……お前は嫌じゃ、ねぇのか?」
「そりゃ、嫌いな人なら嫌ですけど。実弥さんのは、全然嫌じゃないですよ。むしろ実弥さんが気持ちいいなら、いっぱいしてあげたいくらいです!」
いつも笑顔で、真っ直ぐに俺の目を見る。
「いっぱいって…」
嫌じゃないならいいが、何なんだ、いっぱいって。呆れて一言呟く。