第10章 秘密 *
「おいッ!やめろッ!」
そうは言われても、楽しいのだからしょうがない。
先の方を咥えながら、実弥さんに話しかける。
「ひもちよく、ないでふか?」
「口に入れたまま喋るなッ!」
そう言われたので離し、再度話しかける。右手だけは離さず、ゆっくりと上下させ続ける。
「気持ちよく、ないですか?」
「やめろッ!そういう問題じゃねェッ!」
「え?そういう問題ですよ。気持ちよくないなら、やめます。でも気持ちがいいなら、続けます。実弥さんが気持ちよくなってくれるなら、嬉しいですし。そのお手伝いができるんなら、やりたいですし」
「そういう訳にはいかないだろッ!」
案外実弥さんは頭が固いようだ。触り続けているモノは大きく反り上がり、カチカチに硬くなっている。
「いいんですよ!実弥さんは気持ちよくないんですか?されることが、嫌なら…気持ち悪いならやめます。どうなんですか?」
「それと、これとは、話が違うだろッ!」
「違いません!私は実弥さんが気持ち良くなってくれるなら、それでいいんです。私がいいって言ってるんですよ。そんなに嫌ですか?」
こんなに言われると、本当に嫌だったのかと不安になり、実弥さんの顔から視線を外してしまう。さすがにやり過ぎてしまったかもしれない。
下を向いた私に実弥さんは、いつもの声で、尋ねてくる。
「……お前は嫌じゃ、ねぇのか?」
あぁ。この人はこういう人だった。
ずっと私の事を考えててくれて、言っていたのだ。
「そりゃ、嫌いな人なら嫌ですけど。実弥さんのは、全然嫌じゃないですよ。むしろ実弥さんが気持ちいいなら、いっぱいしてあげたいくらいです!」
すっと顔をあげる。私は心配しなくても大丈夫なんだ。そんな気持ちが伝わるように、実弥さんの顔を笑顔で見ながら答える。
「いっぱいって…」
呆れた表情で一言呟くが、それに被せるようにして聞く。
「で、どうなんですか?気持ち良くないですか?」
「…………いい」
私から視線を外しボソボソと呟く。だが最後しか聞き取れない。
「ん?聞こえませんけど」
「……気持ちいいに決まってるだろッ!」
二度も言わされたことに、恥ずかしさと苛つきとあるのだろう。早口で捲し立てるように吐き出された言葉は、私が望んでいた言葉だった。