第10章 秘密 *
「…あッ!」
実弥さんは私に背を向けようとする。そこで自分の勘違いを思い知る。
怪我もしてなければ、体調を崩している訳でもない。
ものすごく、元気だ…。
実弥さんのムスコさんが……。
急いで隠したであろうモノは浴衣の上からも主張しているのが分かる位だ。
今まで全く考えなかったが、実弥さんは21歳、健康男子だ。そりゃ、こういうこともするよなぁと、変に納得してしまう。キャー、なんて言う年齢でもない。
「…さっさと出ていけッッ!!」
こんなに大声で怒鳴られるの初めてだ。自分勝手に勘違いして、勝手に入ってきたのだ。怒られるのは当然だ。
実弥さんは完全に私に背を向けている。
その姿を呆然と、立ち尽くしたまま眺める。
実弥さんは、いつもの背筋が伸びた姿勢ではなく、やや前屈みで下を向いている姿勢だ。
その姿に自分の中で違う気持ちが芽生えるのが分かった。
「…実弥さん」
「まだいるのかッ!さっさと出ていけと言っただろうッ!」
声だけは威勢はよく、かなり怒っているが、実弥さんは全くこちらを向くことはない。
いつもだったら全く見ることのない姿に、見たことのない実弥さんの姿を、もっと見たいとの欲が出る。
「実弥さんッ!」
「うるさいッ!さっさと…おいッ!」
名前を呼びながら、実弥さんの前に座り込む。声を荒げていた実弥さんも、私の行動に驚きを隠せない。
また違う顔だ。
そんな顔を見れたことに嬉しさが込み上げる。そして、まだ見てみたいと言う欲が、私の中でどんどんと膨れ上がる。
実弥さんに向かって、これでもかと言う程の笑みを向けると、話しかける。
「実弥さん、ちょっとお手伝いしたげます」
驚き、何も言えない実弥さんに、ちょっとだけいたずらっぽく笑い、動き出す。
右手で実弥さんの浴衣をめくると、浴衣の上からでも分かっていた主張したモノがあった。
さすが、二十代男子。元気だ。
何か言われる前に両手で包み込み、ゆっくりと上下させる。
「おいッ!やめろッ!」
実弥さんの手が私の肩にかけられる。
「気持ちよくないですか?じゃあ、これは?」
無理やり引き剥がされる前に、前傾姿勢になり口に咥える。
そして、口の中でゆっくりと上下させると、肩にかけられている手の力が徐々に強くなっていく。