第9章 再びお館さまの元へ
「お館さまの笑い声がして、何事かと思いましたよ。お館さまのそんな風に笑う姿は本当に久しぶりですね。ノブありがとう」
あまねさまが私に向かって深々と頭を下げる。
「頭をあげてください、あまねさま。私はお礼を言われるようなことは何もしてないんですよ。ただ色々と話してて、楽しかっただけですから」
「それが、珍しいのですよ」
あまねさまはお館さまを見つめながら、優しく微笑む。
「そうなんですね。私も珍しい耀哉さまが見れて良かったです。あまねさまともまたゆっくりお話ししましょうね。私は、いたずらっ子の耀哉さまじゃなくて、あまねさまとゆっくり話したいです~!」
「あら?ノブ、耀哉さまはいたずらっ子なの?初めて知ったわ」
本当に驚いた顔をして、あまねさまは言う。
「あー!じゃあ、あまねさまには隠してるんですね。この笑顔と声に隠されてますけど、本当確信犯的にいたずらっ子ですからね!気をつけてくださいね、あまねさま」
「策略家ではあるかもしれないわね~。私もそれで嫁いだようなものだし」
あまねさまも私の話しに乗って、すごいことを暴露している。顔はとても楽しそうだ。あまねさまもまだまだ若いのだ。
「おやおや、あまね。そうなのかい?初めて知ったよ」
耀哉さまは少しだけ驚いた顔を見せながら、すぐに笑顔になる。
「ふふふ。お二人とも、初めてを見つけられて良かったです。あ、でもどうしましょ。そんなの、嫌だ~って喧嘩なんてしないでくださいね」
「喧嘩か、それもいいかもしれないね」
耀哉さまが少しだけ意地悪く笑う。その顔を見て、あまねさまと私は顔を見合せ、笑い合う。
それにつられて、耀哉さまも笑う。