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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第2章 暗闇からの光


「何だそれはァ」

「ほら、浦島太郎さんは、竜宮城から帰ってきたら、周りが変わってしまってたでしょ?そんな感じなんです。私の中では現実だったことが、気がついたら何一つ合うものがない。本当にここに飛ばされて来てしまったみたいです」

「何だか納得できねぇが、話が平行線を辿るなら、話しててもどうしようもないなァ」

「私はたぶん浦島太郎なんですよ。そう思ってください。私もそう思います」

自分でも理解できないことだが、浦島太郎という言葉に、ストンと落ちるものがあった。
うん、私は浦島太郎になってしまったんだ。
そう思うと、パニック状態だった頭も落ち着きを取り戻してきたようだ。

「じゃあ浦島太郎のノブさん、お前はこれからどうするんだい」

「どうしましょうかね。野宿して、物請いですかねぇ。てか、確実に死にますね、私。あ!遊女になったら、とりあえず生きていけますかね(笑)」

「笑いながら言うことかァ!」

「ごっ、ごめんなさい~。でも、真面目に考えてますよ。遊女の案は意外といいと思うんですけど、どうですか?遊郭ってありましたよね?でも年齢的にだめか。夜鷹かなぁ…いや夜鷹は今の時代はないのかなぁ。」

と実弥さんに聞きつつ、自分でどんどん話を進める。

「遊女って…お前は何考えてんだァ!」

「いや、本気ですよ!当てが全くない中、生きていかないといけませんし。今の私が生かせるのは、女ってことだけですし…どこかいいところ紹介して頂けませんかねぇ」

話を続けると、実弥さんの顔がだんだん強ばってくる。

「…仕方ない。とりあえず今日はうちに泊めてやる。これからのことは、また考えるぞォ」

「えっ?いいんですか?本当にいいんですか??」

「もう屋敷に連れてきた時点で、今日は諦めてる…でも今日だけだぞォ!」

「今日だけで結構ですッ!ありがとうございます!!」

まさかそんな事になるなんて。
嬉しくて、堪えていた涙が流れてしまった。

「おい、泣くなァ!」

「泣いてませんよ」

泣いたら、優しい実弥さんのことだ。心配させてしまう。私なんかに気を遣わせてしまっては、申し訳ない。涙を袖で拭き取り、笑顔で答える。

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