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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第9章 再びお館さまの元へ


準備が終わってすぐに実弥さんはやって来た。手を合わせるとすぐに食べ始める。

「お疲れのようですね」

「疲れたというより…眠い」

食べる手は休めず、でもちゃんと答えてくれる。

「食べたらすぐ休んでくださいね」

「あぁ。そういや、お館さまから呼ばれてるんだろォ」

「そうなんです。お昼には隠の方が来られるみたいです。できるだけ終わらせて行きますけど…できなかったら、お手紙書いておくので、よろしくお願いします」

お館さまからの手紙に何と書いてあったのかは分からないけど、特に疑問は持たれてないようだ。頭を下げながら思う。

「気にするなァ。とりあえずお館さまに失礼のないようになァ、って、言ってもお前の事だ。何かやらかすだろうなァ」

言いながら実弥さんがニヤリと笑う。

「もう、大丈夫ですよ。前にお会いした時は、自分も何が何だか分からない状態だったからです。今は大丈夫です」

自信満々に言う。

「お前の大丈夫は当てにならねぇんだよォ。まぁノブらしいっちゃ、らしいんだけどよォ」

初めは呆れ顔の実弥さんだったが、笑顔に変わる。
初めて見る実弥さんの顔だった。
単行本では見たことがあったけど、実際に見ると、とてもキレイに笑うんだと、目が離せなかった。
私が喋らず凝視していた事で、笑っていた事に気づいたのだろう。しまった、というような顔して、横を向いてしまった。

「実弥さんの笑い顔、初めて見ました」

「……笑ってねェ」

否定するところが実弥さんらしい。笑っちゃダメなんて事はないのだろうけど。

「いやいや、間違いなく笑ってました」

「………」

珍しく実弥さんは黙り込んでいる。

「もう!まだ若いんですから、普通に笑ってもいいんですよ。ここは実弥さんの家ですし。少しは息を抜かないと、疲れちゃいますよ。ここでは風柱でも鬼殺隊員でもなく、ただの不死川実弥でいいんです!私はただの居候だから、実弥さんも居候先のただの実弥さんでいてください。少しは実弥さん自身を大切にしてあげてないと…」

「……あぁ。とりあえず、寝る…」

眠そうな実弥さんは反論する元気も残ってなかったのだろう。私の話に短く返事をして、今にもつぶれそうな眼で部屋に戻っていった。



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