第9章 再びお館さまの元へ
色々と考えていたが、いつの間にか寝てしまっていたようだ。外はまだ暗いが、そろそろ日が昇る頃だろう。
あまり寝てないような気もするが、二度寝をする気も布団の中でゴロゴロとする気にもならず、起き上がる。
お館さまの所に行く前に、色々と終わらせておかなきゃならない。
着替えを済ませ、部屋を出る。実弥さんの部屋の襖が開いていたので、まだ戻ってきたないのだろう。
いつも通り台所に向かい、いつも通り家事を始める。泊まりになるのであれば、明日までの段取りをしておかなければならない。
「煮物でいいかなぁ……後でおはぎも買いにいかなきゃだなぁ……掃除はだいたいでいいし……あ、お風呂!」
ぶつぶつと言いながら、体を動かす。ふと外を見ると、明るくなってきている。お風呂の準備もできた所で、台所の椅子に座り、一息つく。
お茶が美味しい。
お館さまと話す前に、自分の中で話をまとめておきたかったけど、記憶が、曖昧になってきていた。
もう2か月経っている。日々の生活に追われていたので、細かい部分が思い出せない。
あんなにはまって、穴があくんじゃないかと思うくらい読んでたのに…
「はぁ~どうしよ」
ふと言葉が漏れ出る。独り言は私の得意技だ。昔から変わらない。
その時、玄関の開く音が聞こえた。実弥さんが帰って来たようだ。
立ち上がり玄関まで行く。
「お帰りなさい、実弥さん」
「あぁ今戻った」
「お風呂準備できてるので、どうぞ。今日は実弥さんが上がったらすぐ洗濯するので、洗濯するものがあったら早めに出してくださいね」
「あぁ」
実弥さんは少し疲れてるようで、すぐにお風呂に入りに行った。
私は朝食の準備をする。
少し経てば実弥さんが戻ってくる。今日は本当に眠そうだ。部屋に戻ろうとする実弥さんに、声をかける。
「朝ごはんはどうします?」
「洗濯を持ってくるから、そのままここで食べる」
そう言いながら、部屋に戻っていく。
今日の鬼狩りは大変だったのだろうか。疲れていることはあるが、あんなに眠そうにしている実弥さんを見るのは初めてだ。
早く休んでもらわないと。いくら若いとは言え、疲れは出るだろうし。