第9章 再びお館さまの元へ
実弥さんが鬼狩りへ出た後に、木蓮は戻ってきた。
「明日、オ館サマニ会エルヨウニナッタワ。風柱様ニモ連絡ガイッテルワ」
「明日、会えるのね。嬉しい。ありがとう、木蓮」
「ドウイタシマシテ。オ館サマカラノ手紙ヨ」
「ありがとう」
木蓮の足から手紙を受けとる。
「ソレト、正午ニ、隠ガ迎エニ来ルカラ、準備シテオイテ」
「たくさん飛んで、疲れたでしょ。もう休んで。今日は本当にありがとう。おやすみ」
「オヤスミ、ノブ」
木蓮は窓から飛び立つと、闇夜にすぐに溶け込み、姿が分からなくなった。
明日だ。
明日の昼過ぎには会える。
話したところで、何も変わらないかもしれない。でも、何もしないでいることもできない。
例え未来が変わってしまったとしても、今動いてないと、きっと後悔するから。
何もしないで後悔するより、やって後悔した方がいい。
お館さまからの手紙を見る。とても美しい文字だ。私とは大違い。たぶんあまねさまが書いたのだろう。
開いて読み始める。
『ノブ、元気にしてるかい。
木蓮から、君が私に会いたいと聞いたよ。私も会いたいと思っていたところだったので、ちょうど良かった。明日の昼からは時間が取れる。あまねもノブと話したいと言っているよ。
帰りが遅くなってはいけないから、明日は泊まっていきなさい。実弥には私から連絡しておくから。
何か伝えたいことがあるのだろう。安心してこちらへおいで。
産屋敷耀哉』
流石、お館さまだ。
私が何か話したいと思っている事が、会いたいと言ったことだけで、伝わっている。実弥さんにもお館さまから連絡してくれれば、私から説明しなくていい。どんな内容かは分からないが、そこはお館さまの事だ。うまく書いてくれているだろう。
どれだけすごい人なんだ、お館さまという人物は。
とりあえず明日はお館さまのところに泊まることになるのか。あまねさまともゆっくり話がしたいと思っていたから、夕方の時間を気にしなくていいのは助かる。
でも本当にお泊まりまでしていいのだろうか?
一応準備はしていくけど、帰れそうだったら、帰ってきた方がいいだろう。
明日の準備を手短に終わらせ、寝床に入った。
煉獄さんの最期、無限列車編がどんなだったか、思い出しながら…